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原爆の悲劇を朗読劇に

2018/08/15  |  番組内容

終戦からきょうで73年。戦争体験を語り継ぐ人が年々亡くなっていくなか、戦争を知らない若者は戦争の悲惨さや平和の尊さをどのように伝えていこうとしているのでしょうか?

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大分市の稙田西中学校は、2003年から毎年8月6日の登校日に生徒が平和朗読劇を上演しています。生徒が中心となって準備を進め音響のチェックや舞台の飾り付けを行います。朗読は学校や病院で読み聞かせ活動を行っているぽけっとの会のメンバーの協力を得て行います。今年は7人の生徒が舞台に上がります。稽古は7月上旬から約1か月間行われます。連日、猛暑が続き生徒は暑さと闘いながらの練習です。舞台の下から演者に指示するぽけっとの会代表の篠永朋子さん。毎年、朗読する本や配役を決めて、舞台の演出を考えています。篠長さんは、現在の中国北東部・旧満州で生まれ、2歳の時に終戦を迎えます。終戦の際、軍人だった篠永さんの父親はソ連軍に連行され、シベリアで抑留されました。残された篠長さん一家は父親と離ればなれになり、日本への引き揚げを決めます。戦後73年が経ち、篠永さんの父親の消息はわからないままです。朗読劇では本の内容と自らの経験を重ねながら中学生に演技指導をしています。
今年の朗読劇は長崎県出身の作家・筒井茅乃さんの被爆体験を綴った著書を題材にしました。筒井さんの父親は、原爆が落とされた長崎市で自ら被爆しながらも大勢の被爆者を救った医師・永井隆博士です。筒井さん自身も戦後、執筆活動や講演会で原爆の恐ろしさを伝えてきました。
朗読劇で主人公の茅乃を演じるのは、3年生の松山美桜さんです。松山さんは去年、初めて劇に出演して戦争や平和について改めて考えさせられたそうです。
主人公の茅乃は1941年、長崎市内でキリスト教を信仰する家庭に生まれます。医師の父と母の温かい家庭で育ち自由と食糧のない戦時中ですが穏やかな日々を過ごしていました。しかし、次第に空襲の数が増え、茅乃は長崎の中心部から数キロほど離れた山に疎開し、両親と離れて暮らします。そして、茅乃が3歳の時、長崎に原爆が投下されます。原爆で 長崎の町は一瞬で火の海に―。黒焦げた町はすべてが跡形も無く消え去りました。
原爆投下から3日後、茅乃に母の死が知らされます。幼い茅乃には母の死を受け入れることができません。戦争が終わり、茅乃は父とともに町の教会を訪れます。この日は終戦後初めてのクリスマス―。教会の鐘の音が平和の訪れを告げます。しかし、平和な日々も束の間―。茅乃が9歳の時に父・永井隆が息をひきとります。劇では戦争で親を失った子供たちの悲しみを詩の朗読で観客に語りかけました。
中学生が演じた原爆の恐ろしさと戦争の悲惨さ。真摯に向き合った生徒たちは、平和の尊さを次の世代へ語り継いでいくことが使命だと感じています。