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海原 みどり

私の読書日記2012<No.9>

2012/08/20  |  海原みどり

book

ビブリア古書堂の事件手帳<3>
著者:三上延
出版社:メディアワークス文庫

町中から古書店が姿を消して、久しいですね。今では、東京や京都など限られた都市に行かなければ、それなりの品ぞろえの店に遭遇出来ないかもしれません。

狭い間口の店内を入ると、棚一面にあらゆるジャンルの古本が並べられていますが、それも単行本や文庫本だけではなく、全集ものや辞典、専門書や雑誌のバックナンバーなど、普通の書店ではなかなかお目にかかれない珍しい本に出会えるのが古書店の魅力。古書店巡りをする人は、研究資料を探したり、論文の執筆のためというのが大半でしょうが、冷やかし半分に店内を歩いて本の背表紙を眺めるのも、楽しいものです。案外、掘り出し物が見つかるかもしれません。
特に、パラフィン紙に包まれた全集や歴史書などを手にとると、独特の紙の匂いとともに、その本が書かれた時代の空気まで感じられそうですね。

さて、本書は、鎌倉のそんな古書店が舞台です。主人公は、ビブリア古書堂の若き店主・栞子。父が亡くなった後に店を継いだ栞子は、妹との2人暮らしですが、昔、彼女らを残して家を出て音信不通となっている母のことがずっと気にかかり、内向的でナイーブな性格となりました。
そんな彼女も、本のことになると、話は別。大胆に行動して、持ち込まれた古本をめぐる謎を解く・・・というシリーズ小説です。
随所に出てくる国内外の名作にまつわるうんちくも興味深く、青年店員との恋の行方も気になるところ。

このミステリー小説は、1年余りで発売されたシリーズ3作が計300万冊を超えるという、書き下ろし文庫としては異例のベストセラーとなったそうです。
筆者・三上延さんが若い時に古書店でアルバイトをした経験が作品に活かされ、リアリティを感じる面白さにつながったのでしょうね。

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