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スノーボードへの誘い ~九重森林公園スキー場編~ 【581ぴーや】

2017/03/06  |  小田崇之

社内の『おはようナイスキャッチ』スタッフ2人からの熱い要望により、続きを書くことにする。

前回の日記を見ていない人は、是非そちらから読んでいただきたい。

 

【登場人物】

★WなべTいち

★小田

 

 

 

2人をのせた、かわいいかわいい軽自動車(代車)は、九重森林公園スキー場に着いた。

 

早速レンタルコーナーに行く。

ここはスキーもスノーボードも全てのものが、ハイクオリティーなレベルで揃う。

まさに“手ぶら”で行って大丈夫なのである。

ただし、だからと言って、Tシャツ一枚で行って「風邪をひいた」といわれても、それは知らない。

 

 

 

この日は週末、さらに天気も良かったため道路も凍結していなかった。

かなりのお客さんがやってきていて、レンタル施設の外まで行列ができていた。

 

私は不安を覚えた。

 

(まずい・・・最初で並んでしまうことで、せっかく初めて体験をするTいちが、嫌な思いをしてしまうのではないか?こんなことでTいちにスノーボードを嫌いになってほしくはない)

と。

 

私はTいちに、

「いつもはここまではないんやけどな~。いや~、そんだけやっぱみんなやりたいんだよ!後ろ見てみ?ほら、ゲレンデ広いやろ??」

と、テンションを下げないように話しかける。

 

しかしそんな私の心配は杞憂であった。

Tいちの目は、その行列を見て、キラキラと朝日を浴びたゲレンデのように輝いていた。

 

「小田さん!ヤバイッスね!!なんか休日満喫してるって感じっすね!!」

 

彼は後ろにあるゲレンデは全く見ていない。

その大行列を見てテンションが上がっているのである。

 

日夜編集室にこもり、日の当たらないところでモニターとにらめっこしている彼にとって『人がいること』それだけでも興奮をさせるのだ。

 

「みんなボードっすかね?どうやって借りればいいんすかね?」と饒舌なTいち。

ふと見ると、携帯を取り出していた。

 

(ゲレンデを撮るのか。そうか、そのくらい気分が良いんだな。よかった…)

 

と思うと、なんと彼はその大行列を撮影し始めたのである。

しかも写真ではない、ムービーである。

 

行列の先頭からドリー(移動撮影)を行いながら、最後は私のアップをとる。

そして、「小田さん!今日の意気込みをどうぞ!!」と、振ってきやがったのである。

完全にディレクター気取りである。

 

「ん?あ、ああ…普段どおりに頑張ります。」

 

と、プロとしてはありえないようなテンションだが、ただ微妙に笑顔ではこたえた。

 

 

その後行列に並び続けている時、携帯で何気なくSNSを開いてみた。

すると、さっき撮ったであろうムービーが、Tいちの名前でUPされていた。

 

そうならそうと言え、Tいち。

私のテンションも完全にプライベート用じゃないか。

 

早速、社内の女性先輩から、

「彼女ができないからって・・・。彼はオトコだよ・・」

とコメントが来ていた。

 

社内で新たな誤解をうんでしまう。

 

 

 

行列も進み、レンタルコーナーへ。

ウェアを借りるコーナーに進む。

 

私はウェアは持っているので、Tいちが借りるのを横で見守る。

すると、彼はスタッフに、

「あの!転んでも痛くない、一番厚手のやつ貸してください!!」

と。

 

「カッコ良いの貸してください」とか言うのであればわかるが、「厚手のやつ」とは、実に彼らしい。

彼の実直さが伺える。

 

 

そしてようやく2人は白銀のゲレンデに。

 

先に出ていて待っていると、「お待たせしました!!」と、ようやくTいち登場。

 

 

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「すげ~っすね!マジで全部そろうんすね♪」

初めてのウェアやボードにご機嫌である。

 

私の知らぬ間に彼はヘルメットまでレンタルをしていた。

 

実はこれは大切である。

特に初心者は転倒しやすいため、彼の心がけは素晴らしい。

最低でも、帽子だけでもかぶるべきである。

 

ただ・・・残念ながら、ヘルメットをかぶる人は少ない。

そして、このウェア。

同じものを着ている人を数人見たが、皆下のパンツは紺であった。

「厚手のものを」といった彼に気遣ってであろうか?

鮮やかなオレンジ。

 

すごくおしゃれだ。

ただ・・・

ただ・・・

ヘルメットにゴーグルで、この色。

私には、『ウルトラ警備隊』にしか見えなかった。

 

 

 

そんな新米ウルトラ警備隊を引き連れて、初心者が集まるゲレンデの一番下の部分へ。

 

「とりあえずボードにブーツつけるのからやろっか?」

と話しかけると、

 

「バイッ!!せんせいっ!!よろしくおね”がいしますっ!!」

とTいち。

 

(やばい・・・こいつ完全にテンション上がってる・・・

周りには初心者の若い子たちがたくさんいる中、大声で「先生!」と連呼するウルトラ警備隊。

 

「ちょっと待ってくれ。そんな大きい声で呼ばなくていいし、周りになんて思われるかわからんから、先生もやめてくれ」

と伝える。

 

「いえ”っ!人にモノを教わるんだからちゃんとしなきゃダメですっ!小田先生!よろしくお願いします!!!」

とTいち。

 

ダメだ・・・完全にのってしまった。

こういうテンションが上がった時のTいちは、もうなにを言っても無駄である。

だれも止められない。

Nobody can stop Taichi!である。

 

諦めてTいちに基本を教え始める。

 

「まず、すわろっか?」

 

「ハイッ!!」

 

「ブーツちゃんとしめよっか?」

 

「ハイッ!!」

 

「ボードを置いてみて」

 

「ハイッ!!」

 

 

・・・ダメだ、絶対「こいつらなんだ?」って周りに思われている。

「そんなにこの教えているほうの男は、できる人なのか?」

と。

 

まあ、もう仕方ない。

周りの目は気になるが、割り切って、Tいちに基本を教え続ける。

そうして、午前中は過ぎていった。

 

 

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昼食をはさんで午後。

ゲレンデに出ようとすると、Tいちが言う。

 

「小田さん、好きに滑ってきていいですよ。ず~っと俺の練習つきあってもらうのも申し訳ないですし。俺も、今から2時間くらいは“自分と向き合う”時間にします!」

と。

 

Tいちなりの気遣いである。

申し訳ないとも思ったが、ずっと私といても彼も気を使うだろう。

ゆっくり落ち着いて自分で考えながらすべるのも良いかもしれない。

と思い、彼の提案を了承した。

 

リフトに乗っているとき、ゲレンデのほうにふと目を向けると、斜面を転がりまくるウルトラ警備隊員の姿が見えた。

鮮やかなオレンジ色と、あまりいないヘルメット姿はゲレンデによく映える。

というか、目立つ。浮いている。

 

“自分と向き合う”というよりも“ゲレンデの斜面”と文字通り顔を突き合わせて転がりまくるTいち。

ただその努力する後輩の姿はひじょうに微笑ましい。

 

(ガンバレTいち!ここ乗り越えられたら楽しくなってくるからな!)

と、心の中で応援をした。

 

 

 

ではここでブレイクタイム。

Tいちの努力の写真をまとめてご覧いただきたい。

 

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さて、話を戻そう。

 

3~4度頂上から滑ったであろうか?

そろそろかな?と思い、頂上から彼に電話をかける。

 

 

 

※注意

ここからの展開は、お食事中にはふさわしくない表現も含まれています。

しかし、今回の話のキモであり、私の中で最も印象深い出来事でした。

堪えられずに『とりまラジオ』で喋ってしまいました。

以下に書かせていただきますが、見たくないという方はどうぞお気になさらずに、ここでページを閉じてください。

「見ても良い」という判断をされた方だけ、進んでいただければと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電話がつながる。

 

「あ、Tいち?上手くなったか~?そろそろ合流しよっか。今どこ?滑って降りていくよ」

 

電話先のTいちの声は何故か焦っていた。

 

「あ”小田さんでずか!?いま、いまどこですっ!!?」

 

「ん?今一番上にいるよ~。Tいちどのへんにおるん??」

 

「いまですね!俺っ!トイレにいるんですけど・・紙っ!“紙がないんですよっ!!”」

 

「・・・え!?マジか!!」

 

「あのっ!更衣室のほうのトイレです!更衣室のほうっ!」

 

「わかった!待ってろっ!!!」

 

 

電話を切った刹那、私は一気に斜面を下っていた。

 

(かわいい後輩のピンチ!待ってろ!今助けてやるっ!!)

 

多分これまでの中で一番速く、そして美しい滑りができた気がする。

下までたどり着くと、すぐにボードを外し、ロッジに向かう。

 

更衣室でないほうのトイレに飛び込む!

(あった!)

余っているトイレットペーパーを見つける!

手に取る!

トイレを飛び出す!

 

片手にたっぷり巻かれたトイレットペーパーを持ち、目指すは“更衣室のトイレ”

早足で進むスノーボーダー。

その姿は間違いなく浮いている。

ただ、そんなことはどうでも良い。

かわいい後輩が“更衣室のトイレ”で不安な思いをしている!

泣いているかもしれない!

待ってろ!Tいち!

今俺が・・・否、トイレットペーパーが行くぞ!!

 

 

更衣室のトイレに向かいながら、Tいちの携帯に電話をかける。

 

私「Tいち!もうすぐつくぞ!更衣室やな!?」

 

T「あ”!そうです!そうです!」

 

私「ん?これか?ついたついた!」

 

私が扉を開けると、小便器が1つと、その奥に個室が1つ。

 

T「そこです!その中です!!」

 

もう、携帯とトイレの中と、ステレオでTいちの叫び声が聞こえる。

 

私「これ…どーやって渡すの??」

 

T「上ですっ!上から落としてっ!!」

 

私は扉の上に手を伸ばして、扉の奥にトイレットペーパーをかざす。

こういうとき、背が高くてよかったと思う。

まあ、こんな『こういうとき』は滅多にないが。

 

ただ、当たり前だが扉の向こうは見えない。

 

私「おい!いいんか?落とすぞ!いくぞっ!」

 

T「いいっ!その位置、そのままっ!!」

 

私&T 「せ~のっ!!」

 

 

さすがディレクターとアナウンサー。

長年2人で仕事をしてきただけある。

 

二人の息はぴったりで、Tいちは見事にトイレットペーパーをナイスキャッチ…『おはようナイスキャッチ』したのである。

 

こうして、彼の危機は、2人の連係プレーで乗り切ったのである。

その後、2人の楽しいスノーボードは続くのであった。

 

 

※ちなみに先週の土曜日も、Tいちと九重森林公園スキー場に行った。

 

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ヘルメットからは卒業したようだ。

 

ただ、この男、2回目にしてはかなり上達した。

顔に似合わず意外とスノーボードの才能があるのかもしれない。

 

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表情からも、なんとなく『チョーシのってる感』が伝わってくる。

 

この九重森林公園スキー場は3月下旬まで楽しめるようである。

ひょっとすると、3回目がある・・・かもしれない。

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