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空を見上げてみれば・・・  【588ぴーや】

2017/09/28  |  小田崇之

前回の日記の、掃除のおばちゃんと話したおよそ10分ほど前。

携帯を見ると着信が。

 

おかんからだ。

 

「あん?なに?」

 

若干気だるそうに電話に出ると、電話口から興奮気味のおかんの声。

36年も付き合っているからわかる。

こういうときのおかんの話は大したことではないことが多い。

 

「あんたなあ、今どこいるん!?」

 

「どこって・・・○○におるよ」

私がいる場所は、おかんが過去に『バーグブレイブ』と自信満々に言い間違えた某商業施設だ。

 

「あんなあ、今日この後大変なんよ!この後なあ、人工衛星かなんかが大分の上通るんよ!!」

 

ほう、なかなか大したことだった。

 

「時間がな!このあと18時58分くらいから数分だけって短いらしいんよ!でな、お母さんは今から見えるとこに見にいってくるけん!でもな、ママさんバレーがあるからそんなに長いことはいけんのやけどな!じゃあね!バイバイ!」

と、一方的にまくし立てられ電話を切られた。

 

果たして最後のママさんバレーの下りは必要だったのか?という疑問は残ったが、まあそんなことはどうでもいい。

おかんは昔から宇宙に大きなロマンを抱いている。

「お母さんな、幽霊は信じないんやけど、宇宙人は信じてるんよ!だって宇宙ってあんなに広いんやから、ぜ~ったいおると思うんよ!」

と、矢追純一さんに勝るとも劣らないほどの情熱を幼い頃から聞かされてきた。

 

 

私はとりあえず家に帰った。

おかんのバイクはない。

どうやら本当に出かけたようだ。

 

バイクを停めてふと腕時計を見ると『18時48分』

おかんの話していた時間が近づいている。

「はん、騙されたと思って見てやるか・・・」

と思い、時間まで外で待ってみることにした。

 

18時50分頃から空を見上げる。

もう日が暮れるのがすっかり早くなった。

あたりは真っ暗で、星がきれいに見える。

秋の風が心地よい。

 

暗闇に飛行機が赤や青の点滅をキラキラさせながら飛んでいる。

二機通過しただろうか。

しかしどれも飛行機だ。

 

腕時計を見る。

おかんが話していた『18時58分』だ。

 

「ちっ、おかんのガセネタかよ・・・」

と、思った時。

裏の林のほうから強めに輝く星のような光が真っ直ぐに飛んでくるのが見えた。

あきらかに飛行機ではないことはわかった。

 

「Oh・・マジか!Sorryおかん!」

 

と心の中で思いながら、その光から目が離せない。

 

輝く光が、一定の速度で迷いなく飛んで行く。

その動きは、暗い夜空にまるで定規で一本の線を引いたようだった。

そしてその光は私の視界から消えていった。

時計を見ると19時03分。

時間にしてほんの数分間の出来事だった。

 

そして、その輝く光を見送りながら私は思った。

意気揚々とわざわざどこかに見に行ったおかんは、果たして見えたのかと。

 

「おかん・・・実家で余裕で見えたよ。」

 

 

※後日調べたところ、やはり宇宙ステーションのようでした。

おかんが伝えてくれた時刻ともぴったり一致していました。

ただ・・・9月中は他にも見ることが出来る日がけっこうありました。

 

「興奮してたおかん・・・けっこう見える日あるみたいよ。」

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