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僕だけがいない街

同じ時間を何回も繰り返す現象(この作品では<リバイバル>という言葉を使っているが)を扱った映画は最近よく見かける(例えば「オール・ユウ・ニード・イズ・キル」T・クルーズ)。何回も同じ現象を繰り返しながら行動を修正していく、という手法であるが、この作品では少年時代に遭遇した連続少女殺人事件をトラウマに持つ青年が、このリバイバル現象によって過去の事件を探っていくというミステリー仕立てになる内容であり、原作漫画が人気になったものを元にして、ラストを映画オリジナルにした作りにしたものである。
ピザ店で配送のアルバイトをしている20代後半の藤沼悟は、売れない漫画家でもある青年だが、同じ時間が何回も巻き戻るリバイバルという異常な現象を体験する。
その時は必ず何らかの事故が起こることをわかっている悟は、ピザ配送中に交差点に突っ込む暴走トラックから子供を救うことになる。たまたまその事故を目撃したバイト仲間の愛梨は、その事故を察知した悟の不思議な対応にびっくりしながら負傷した悟に病院までつきそう。それが縁で愛梨は他人と距離を置く悟を何くれと世話を焼きはじめる。
そんな折、北海道から悟の船橋のアパートに母親の左知子が尋ねて来てスーパーで買い物をしている最中にまたしてもリバイバル現象が起こる。が悟は人ごみの中、起こるべき事故を察知できない。だが左知子が少女の手を引く男に気づいたことで悟の現象は収束する。それを境にアパートで左知子が襲われ殺害され、愛梨の家が放火されるなど悟の周辺に事件が続発し、悟が犯人と疑われる。警察から逃げる途中、悟はなんと18年前の北海道の小学生時代にリバイバルしてしまう。そしてそこで発生した未解決の連続少女殺人事件こそが、悟のリバイバル現象の元であったのだ。20代の心を有した小学生の悟は、同級生の雛月加代の命を守るために仲間たちと戦う決心をする・・・。
親から虐待を受ける同級生の女の子を守る、という北海道の小学生時代の後半をメインに置き、前半は2006年時代の青年となった悟のリバイバルという不思議な現象を身に背負い、世間から距離を置く孤独な行動を描こうと試みるミステリー仕立てのこの作品は、丁寧に演出した苦労は察するが、肝心の犯人の心の闇が今ひとつしっくり描写できず上っ滑りの感がある分だけ、説得力の欠ける内容となったのは残念!
大分出身の平川さんの作品だけにえこ贔屓したいのですが、残念ながら少し消化不良のマアマアという出来の作品でした。
ぼくのチケット代は、1,800円ならという作品となっていました。
星印は、2つ半差し上げます。


[ 2.5 点(5点満点)・ 1800 円(1800円基準)] 5点満点中2.5点 1800円
衛藤賢史のシネマ教室について…

“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。

星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)

【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動

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