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来る

CM界のエースから映画界へと転身し、次々と斬新な試みの作品で日本映画をひっぱる存在となった中島哲也監督の最新作がこれである。原作は、澤村伊智のホラー大賞を得た「ぼぎわんが、来る」であり、あえて「来る」というだけのタイトルにして中島のモダン・ホラー映画の色を出そうとする演出を見せている。

 

少年時代に奇妙な体験をした田原秀樹(妻夫木聡)は、香奈(黒木華)と結婚しふたりの間に生まれた知沙とのしあわせな三人暮らしを毎日ブログで報告している。ある日、秀樹の勤める会社に謎の訪問者が来て取り次いだ同僚に「ちささんの件で」との伝言だけを残していく。その同僚が謎の死を遂げてから、秀樹の周辺に次々と不可解な霊的現象が起こりはじめた。恐怖を感じた秀樹は、親友の民族学者・津田大吾(青木崇高)に相談し、オカルト・ライター野崎和浩(岡田准一)を紹介される。野崎はキャバ嬢霊媒師・比嘉真琴(小松菜奈)と共に謎の霊的現象の調査をはじめる。しかし、この霊の力は想像を絶する強大なパワーを有する存在だったのだ!真琴の霊媒力ではとうてい太刀打ちできない霊的パワーが、秀樹一家をボロボロにしていくのを防ぐ策を野崎も講じるが、秀樹ののらりくらりとした態度が邪魔になる。そんな中、真琴の姉で日本最強の霊媒師である比嘉琴子(松たか子)が真琴と野崎の苦戦をみかねて登場してくる。琴子は、この霊的な現象がただならぬパワーを有していることを察知し、日本中の一級の霊媒師や警察組織を招集し、このすさまじいパワーを有する謎の霊を封じる戦いを開始するのだが・・・。

 

中島監督独特のサイケデリックな色彩の洪水のような画面構成にのって、不可思議な霊的パワーが、サラリーマン一家に襲いかかる様を描いていくこの作品は、恐怖に身も凍るホラー作品ではなかった!いわばホラーの名を借りた人間の心の無機質な闇と、そのことを気づかないで毎日の生活を送る人間の心の哀れみを描こうとする内容となっているのだ。秀樹を演じる妻夫木聡の薄っぺらい心を持つ男の演技もすばらしく、この演技によって作品のもつテーマがくっきりと浮き彫りになっていくのだ。
ぼくのチケット代は、2100円出してもいい作品でした。
星印は、3ッさしあげます。


[ 3 点(5点満点)・ 2100 円(1800円基準)] 5点満点中3点 2100円
衛藤賢史のシネマ教室について…

“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。

星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)

【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動

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