OBS

top_image

嘘を愛する女

CM界で活躍する中江和仁が、TSUTAYAのオリジナル企画映画募集でグランプリを受賞し、自身の監督で映画化した作品だ。自分の才覚だけでキャリアウーマンの地位を獲得した鼻っ柱の強い女性を長澤まさみが好演している。

 

食品メーカーに勤務する川原由加利(長澤まさみ)は、研修医の小出桔平(高橋一生)と同棲して5年目になる。物静かでやさしい桔平は、すべてに受け身で収入もあまりなく、バリバリのキャリアウーマンである由加利の収入で暮らしていた。そんなある日、母と桔平を会わせるためセットした場所に桔平が現れずカンカンになった由加利が帰宅すると、刑事(嶋田久作)が訪ねてきた。桔平が、くも膜下出血で倒れ意識不明の状態でER病棟に保護されたが、彼の所持していた運転免許証や医師免許証がすべて偽造されたものであるので、事件性があると判断したのだ。そもそも桔平との出会いは、5年前の3・11の大震災で過呼吸に陥った由加利を応急措置してくれた事からはじまり同棲へと発展したのだが、寡黙でやさしい桔平に甘え由加利は、目の前の桔平しか知らなかった自分に愕然となる。由加利は、自分が愛する人の事を何も知らなかったこと、いや知らされなかったことへの悲しみと屈辱から、私立探偵の海原匠(吉田鋼太郎)と助手でパソコンに強いキム(DAIGO)に調査を依頼する。調査の中で心葉(川栄李奈)というカフェの従業員が、桔平がそのカフェで小説を書いていたという情報を知り、書かれた内容にある瀬戸内海に向かう。気が強く独善的な由加利と海原は衝突しながらも地道に調査した結果、浮かび上がる桔平の過去の出来事は・・・。

 

大都会の孤独、そして女性の仕事での突っ張るしかない立ち位置の苦しさ、などを活写しながら、桔平の過去を探るミステリー仕立ての構成は、美しい瀬戸内海の調査過程を丁寧にカットを繋ぎながら描写していく手法でデビュー作とは思えない作りにしていった!また長澤まさみはイヤ~な女という監督の注文に立派に応え好演している。高橋一生は、受けの演技なので少し損をした役回りになったか?出色なのは私立探偵・海原を演じた吉田鋼太郎だ!後半の瀬戸内海のシーンでは長澤まさみと肩を並べる主演クラスの出番を持ち、長澤まさみ扮する由加利の心を次第に浄化させながらも、も~このオンナにはついていけないな~とイライラする演技を軽やかに演じているのだ。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいいと思う作品でした。
星印は4ッさしあげます。


[ 4 点(5点満点)・ 2200 円(1800円基準)] 5点満点中4点 2200円
衛藤賢史のシネマ教室について…

“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。

星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)

【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動

ページのトップへ戻る