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「有給休暇やワーク・ライフ・バランス」の調査について

今回は、大銀経済経営研究所の野上諭さんにご出演頂きました。

■はじめに、大分県内の最新経済動向はどうなっていますか?

県内経済は緩やかに持ち直しています。製造業や住宅着工は引き続き横ばい水準となっています。観光では、国内観光客が伸び悩んでいますが、外国人観光客が牽引して全体では底固く推移しています。個人消費は専門店量販店を中心に緩やかな持ち直しの動きがみられ、雇用では、3月の有効求人倍率が1.4倍と高止まりしています。

■今回は有給休暇やワーク・ライフ・バランスについて調査をされたということですが・・・

平成28年度より、当研究所では厚生労働省から委託を受け、大分市とも連携し「地域の特性を活かした休暇取得促進に向けた環境整備事業」を実施しました。具体的には8月や10月を年次有給休暇取得のための重点実施期間と位置づけ、年次有給休暇活用して、ワーク・ライフ・バランスの実現を図る環境づくりを支援しました。今回は、その事業の中で実施した企業訪問やアンケート調査の結果をもとに、大分市内の企業や従業員の皆さんの年次有給休暇取得状況等についてお知らせします。

■大分市内の年次有給休暇の取得状況はどのようになってますか?

大分市内の各企業に対し、前年度1年間における年次有給休暇の取得率を尋ねたところ、平均取得率は41.7%で、平成28年度に実施したアンケート結果に比べて1.4ポイント上昇しました。業種別にみると、「医療・福祉業」や「運輸・郵便業」では約5割と平均を上回った一方、「卸売・小売業」や「建設業」では約3割と、他の業種に比べ低くなりました。従業員規模別では従業員数が少ない企業ほど年次有給休暇の平均取得率が減少する傾向がみられており、業種や従業員規模で年次有給休暇の取得状況に開きがあり、それぞれの業種や従業員規模に応じた休暇取得促進策が求められていることがわかりました。また、従業員に対し日頃の年次有給休暇の取得状況を尋ねたところ、「年間6~10 日程度取得」が32.9%と最も多く、次いで「年間1~5 日程度取得」が27.5%でしたが、「ほとんど取得しない」とする回答も16.5%ありました。平成28年度の結果と比較すると、「年間6~10 日程度取得」や「年間11~15 日程度取得」の回答割合が上昇していました。会社と従業員間で休暇について話し合う機会があるかどうかと休暇取得日数の関係をみると、会社と話し合う機会が有る従業員の方が、無い従業員と比べ、休暇を取得しない割合が低く、休暇の取得日数も多い傾向にあり、年次有給休暇の取得促進には労使間の話し合いが重要となることが分かりました。

■年次有給休暇を取得することのメリットは、どのような調査結果に?

年次有給休暇が企業に与えるメリットを尋ねたところ、企業・従業員ともに「従業員の心身の健康につながる」、「従業員のモチベーションの向上」という回答が多く見られました。また、モチベーションの向上や仕事の効率化につながると回答した従業員の割合は、企業よりも高く、企業が考える以上の効果が期待されることがうかがえました。

■大分市内の企業100社を訪問して、どのようなことを感じましたか?

昨年度、事業の中で大分市内の100の企業を訪問し、事業の周知広報や各社の年次有給休暇の取得状況、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組み等をうかがいました。大分市内の企業では、ワーク・ライフ・バランスに向けた取り組みが徐々に浸透してきていることを感じた一方で、人手不足や人材不足に悩む事業場も多く、年次有給休暇の取得推進が難しいとする会社も少なくは無かったです。業種や従業員規模によって、ワーク・ライフ・バランスへの取り組み度合いは異なります。まずは、各社で可能な範囲での改善や、労使間で働き方・休み方を話し合う機会を設けていくことが重要だと感じました。

■特徴的な取り組みをしている先はありましたか?

大分市内で設備工事を行うとある企業では、毎月1回は年次有給休暇を取得するよう、社長自ら声かけを行うとともに、月初に年次有給休暇の取得申請書を提出させ、月末に実績の振り返りを行うことで、取得率の向上につながっています。また、医療・福祉サービス業の別の企業では、年次有給休暇と別に「教育休暇」や「リフレッシュ休暇」といった独自の休暇制度を設け、子どもの学校行事や従業員のリフレッシュに利用させるといった取り組みを行っていました。こういった取り組みを行っている企業では、安心して働けることからか、従業員の定着率向上などがみられていました。

■年次有給休暇の調査結果についての「まとめ」をお願いします。

休暇取得促進を含むワーク・ライフ・バランスの実現のためには、経営者層の理解が不可欠です。経営者層に対して、他企業の取り組み事例などの各種情報提供を行い、休暇取得促進の重要性について理解を深めてもらうことが重要です。誰もが休暇を取得しやすい職場環境の整備は、従業員の定着や優秀な人材の確保、長時間労働の是正、心身の健康などにつながるほか、業務の効率化が図られることで生産性の向上も期待されます。すべての人がしっかりと休み、生き生きと働き続けられる環境づくりに地域全体で取り組むことが重要ではないでしょうか。

■最後に、大銀経済経営研究所では今年度も同様の事業を行っているということですが。

当研究所では、今年度も引き続き厚生労働省の委託を受け、「地域の特性を活かした休暇取得促進のための環境整備事業」を実施しております。今年度は8月と10月・11月を年次有給休暇取得の重点実施期間と位置づけて、期間中の年休取得促進を行っていきます。「しっかり働き、しっかり休もう!」をテーマに、それぞれの期間中に開催される大分市内のイベントやお子様の夏休み、地域の行事等に合わせて年次有給休暇を活用し、ワーク・ライフ・バランスの実現を図りましょう。当研究所のHPでは本事業のパンフレット等も掲載しております。また、厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、専用指標によって企業診断ができる「働き方・休み方改善指標」や企業における取組事例など働き方・休み方の見直しにつながる各種情報が掲載されておりますので、是非ご活用ください。大分市内の企業や従業員、市民の方々にぜひご協力、ご参加いただけますよう宜しくお願い致します。
(おわり)