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「民泊」について

今回は、大銀経済経営研究所の東昂寛さんにご出演頂きました。

 

 

■はじめに、大分県内の最新経済動向はどうなっていますか?

大分県内経済は緩やかな持ち直しの動きが続いています。生産活動や個人消費、公共工事は横ばい水準となっていますが、住宅着工や観光では持ち直しの動きが見られます。雇用では有効求人倍率が6ヵ月ぶりに低下しましたが、過去2番目の水準を維持しています。

 

■今回は、「民泊」についてアンケート調査をされたとのことですが…

今年の6月15日に住宅宿泊事業法、通称民泊新法が施行されました。6月以前は旅館業法の許可が必要であるにも関わらず、無許可で営業が行われている場合もあり、ヤミ民泊としてトラブルの発生原因にもなっていました。
民泊新法の施行により、一定のルールのもと、健全な民泊サービスの普及が図られることになりました。
民泊は、人口減少を背景に増加する空き家の有効活用や、近年急増している外国人宿泊客の受け皿として期待されています。今回は、大分県民が民泊に対してどのような印象を持っているのか調査しました。

 

 

■民泊新法の施行によって、民泊営業をしてみたいと思っている人はいるのでしょうか?

自宅で民泊営業をしたいと思うか尋ねたところ、「民泊営業をするつもりはない」が94%、「具体的な予定はないが検討したい」が5%、「すでに民泊営業している、もしくはする予定」が1%未満と、大多数の人が民泊営業をするつもりがないと回答しています。「民泊営業をするつもりはない」と回答した人にその理由を尋ねたところ、「民泊に適した物件を所有していない」が55%、「管理が大変そう」が46%、「防犯面で不安」が36%と続きました。半数以上が「民泊に適した物件を所有していない」ことを理由に挙げています。「管理が大変そう」と回答した割合も4割を超えており、仮に物件を所有していたとしても民泊営業には後ろ向きな傾向が強いと感じます。

 

 

■自宅の周辺で民泊営業が行われることについては、どのような印象を持っているのでしょうか?

自宅周辺で民泊営業が行われることについてどのように感じるか尋ねたところ、「騒音等のトラブルが心配」が45%、「地域の治安の悪化が不安」が34%と、どちらかと言うとマイナス面の印象が上位になりました。好意的に捉える回答として「地域経済の活性化が期待できる」が24%、「地域の魅力をアピールする機会が増える」が18%と、一定数は存在していますが、不安要素の方が上回る結果となりました。回答者の内訳を見ると、「民泊営業をするつもりはない」と回答した人たちは不安要素の印象が多く、「具体的な予定はないが検討したい」または「すでに民泊営業している、もしくはする予定」と回答した人たちは好意的な意見が多くなりました。

 

 

■実際に民泊を利用したことがある人はどのくらいいますか?

民泊を利用したことがあるか尋ねたところ、「今後も利用するつもりはない」が65%、「利用したことはないが今後利用してみたい」が29%、「一度だけ利用したことがある」が4%、「複数回利用したことがある」が1%となり、実際に宿泊したことがあるのは全体の約5%でした。しかし、民泊に泊まったことがある、または泊まってみたいと回答した割合は3割を超えていることから、民泊営業と比べると利用意向は高いようです。年齢別に見ると、一度でも民泊施設に宿泊したことがある割合は20代以下が13%と最も高かったのに対し、他の世代は4%未満と低く、20代以下が突出する結果となりました。また、「利用したことはないが今後利用してみたい」と回答した割合も20代以下が最も高く36%となりました。「今後も利用するつもりはない」は20代以下が51%と最も低くなりました。民泊利用に関しては20代以下とその他の年代で傾向が異なり、20代以下では民泊利用に対する抵抗が特に少ないことが明らかになりました。

 

 

■どのような理由で民泊を利用してみたいと考えているのでしょうか?

民泊を利用した、もしくは利用したい理由を尋ねたところ、「価格」が51%、「宿泊する地域特有の体験をしてみたい」が42%、「立地条件」が18%の順番となりました。半数以上が価格を民泊利用の理由に挙げていることから、民泊をホテルや旅館に比べて割安な宿泊施設と捉えていることがうかがえます。年齢別に見ると、全体でトップだった「価格」は年齢が上がるほど割合が下がっており、20代以下は63%、60代以上は35%となっており、若い世代ほど費用の観点から民泊を利用する傾向があります。次に割合が高い「宿泊する地域特有の体験をしてみたい」は反対に年齢が上がるとともに割合が上昇する傾向にあり、20代以下は30%、60代以上は58%となりました。年代によって宿泊先に求めるものが異なるようです。

 

 

■価格についてですが、1泊いくらなら泊まりたいと考えているのでしょうか?

一泊いくらであれば民泊を利用するか尋ねたところ、「3千円~5千円未満」が44%、「千円~3千円未満」が39%、「5千円~1万円未満」が13%となりました。公益財団法人日本交通公社が公表している旅行年報によると、2015年度の主にビジネスホテルのシングルルーム平均単価が約7千円であることを考えると、民泊には低価格を求めているようです。民泊の利用経験別に見ると、最安値の「千円~3千円未満」と回答した割合は、民泊を一度以上利用したことがある人は26%、民泊を今後利用してみたい人は20%と、全体より低くなりました。反対に民泊を利用するつもりがない人は「千円~3千円未満」が49%で最も多く、全体よりも10ポイント程度高くなりました。

 

 

 

■今回の調査を受けて、どのような感想をお持ちですか?

今回のアンケート結果から、大分県内で民泊営業をしてみたいと考えている人はごく少数であることが明らかになりました。大分県のホームページによると、大分県内の民泊営業の届出数は10月22日時点で17件となっていて、決して多いとは言えない状況です。大分県を訪れる外国人宿泊客は増加傾向にあり、2019年9月にはラグビーワールドカップの開催も控えているため、受け皿となる宿泊施設の早急な整備が求められています。
民泊の増加は宿泊客の多様なニーズを満たすために必要な取り組みだと考えられます。民泊の普及が、今後の大分県の観光業の発展に良い影響を与えることが期待されます。

 

 

(おわり)