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「宿泊業の外国人宿泊客受入」の調査について

今回は、大銀経済経営研究所の辻誠太郎さんにご出演頂きました。

 

 

■大分県内の最新経済動向について

大分県内経済は緩やかな持ち直しの動きが続いています。生産活動や個人消費、住宅着工、公共工事は横ばいの動きとなっていますが、観光は持ち直しの動き、雇用は有効求人倍率が引続き高水準で推移しています。観光は宿泊客数・レジャー施設入場者数がともに4ヵ月連続で増加、雇用は11月の有効求人倍率が1.57倍で過去3番目の高水準となっています。

 

 

■今回は、「大分県内の宿泊業の外国人宿泊客受入」に関するアンケート調査をされたとのことですが…

県内の大部分の宿泊施設は訪日外国人客を積極的に受け入れていますが、言語対応等に不安を感じ、外国人客の取り込みに消極的な施設もあると考えられます。今後日本では人口減少や少子高齢化がますます進み、若者の旅行離れも叫ばれるなか、宿泊業を営んでいくには訪日外国人客の受け入れ拡大が重要であると考えられます。そこで、当研究所では、湯布院、別府、日田・九重地区の宿泊施設に対して、訪日外国人客の宿泊動向についてアンケート調査を実施しました。

 

 

■「外国人宿泊者数」の伸び率は全国的に見ても、大分県は高かったようですが、どのような印象(感想)ですか?

日本政府観光局の「訪日外国人旅行者統計」によると、全国の訪日外国人旅行者数は、2008年が835万人、2017年が2,869万人とこの10年間で約3.4倍と大幅に伸びています。また、大分県の観光統計によると、県内の外国人宿泊客数は、2008年が30万4,847人、2017年が85万6,445人と10年間で約2.8倍の増加となっています。観光庁によると大分県の外国人宿泊客数は、2017年は2016年よりも67.7%伸びており、伸び率は全国トップ水準となっています。2017年の内訳をみると、韓国人が552,815人と最も多く全体の64.5%を占めており、次いで台湾、中国、香港と続きます。大分県の伸び率が高かったのは、大分空港を含め九州内の空港で韓国との路線が充実したことにより韓国人の宿泊客数大きく伸びたことが要因であり、韓国人が多い理由としては①韓国と大分の距離が近く、安く短時間で移動できること、②韓国人が温泉好きであることが考えられます。

 

 

■現在、「外国人宿泊者」を受け入れているところは、大分県内全域ですか?反対に“受け入れていない”地域はありますか?どんな理由があるのでしょうか?

アンケート調査結果によると、外国人宿泊者を「受け入れている」との回答は湯布院で94.1%、別府で90.2%と9割を超えましたが、日田・九重では57.7%となりました。日田・九重は湯布院、別府と比べて外国人宿泊客の受け入れに消極的であることがうかがえます。外国人客を「現在受け入れていないが、今後は受け入れたい」「現在受け入れておらず、今後も受け入れる予定はない」と回答した施設に受け入れてこなかった理由を尋ねたところ、「言語対応が不安」と「日本人客を大切にしたい」がともに52.9%と最も多く、次いで「トラブル対応ができない」が47.1%、「施設が外国人向けではない」が41.2%の順となりました。

 

 

■「外国人宿泊者数」をさらに増やそうと、取り組んでいることはありますか?

外国人宿泊客を「受け入れている」施設を対象に外国人客受入増加に向けた取り組みについて尋ねたところ、「設備の改装や拡充」が47.7%と最も多く、次いで「言語対応」が33.7%、「カード決済の充実」が31.4%、「SNSやインターネットの活用」が29.1%の順となりました。2016年に観光庁が実施した「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」によると、旅行中に困ったことは「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」が32.9%、「無料公衆無線LAN環境」が28.7%、「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」が23.6%となっており、外国人宿泊客を受け入れている宿泊施設が外国人向けに取り組んでいる内容と訪日外国人旅行者が旅行中に困ったことが一致していることが分かります。

 

 

■受け入れに力を入れていこうと思う国や地域はどこでしょうか?

外国人宿泊客を「受け入れている」、「現在受け入れていないが、今後は受け入れたい」施設を対象に今後、最もターゲットにしたい国・地域について尋ねたところ、「台湾」が17.0%と最も多く、次いで「欧州」が12.5%、「韓国」が9.1%の順となりました。例年外国人宿泊客の大半を占めている「韓国」ではなく、今後は2番目に多い「台湾」をターゲットとし宿泊客数を伸ばしたいと考えている宿泊施設が多いのではないかと考えられます。また、「欧州」については、ラグビーワールドカップ2019の試合が大分市で開催されること、大分市と別府市がラグビーワールドカップ2019公認キャンプ地に決定したことで、「欧州」からの観光客の増加、認知度があがることを期待している宿泊施設が多いと考えられます。

 

 

■大分県で、訪れる外国人観光客のためにできるおもてなしはありますか?

外国人が旅行中に困ったことへの取り組みとして、「コミュニケーション」についてはポケトークなどの音声通訳機の導入や「おんせん県おおいた多言語コールセンター」を利用する宿泊施設が増えており、「無料公衆無線LAN環境」については宿泊施設・観光施設で対応が進んでいます。「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」については、昨年、大分自動車道に外国語で減速などの注意を促す看板を初めて設置されましたが、まだまだ「道路標識の多言語化」は不十分であると考えられます。今後、ますます増加すると考えられる外国人観光客が安心して大分県内を観光するためにも、更なる環境整備が重要であると考えます。

 

(おわり)