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熊本地震の県内企業への影響に関するアンケート調査

今回は、大銀経済経営研究所の岡田 祥伸さんにご出演頂きました。

 

■まず、はじめに、大分県内の最新経済動向について教えて下さい。

県内経済は、熊本地震による影響が和らいでいるという状況です。項目別にみますと、個人消費は横ばい圏内の動き、生産動向・住宅着工は持ち直しの動き、雇用動向は引き続き堅調に推移しています。また、これまで観光面を中心に熊本地震の影響がみられていましたが、7月以降、国や県が発行した「九州ふっこう割」をはじめとした支援策により、県内観光は大幅に回復しています。

 

■今回は、熊本地震の発生から2ヵ月を経て、「熊本地震の県内企業への影響に関するアンケート調査」を実施されたとのことですが・・・

今年4月に発生した熊本地震は、大分県内で観測史上最大となる震度6弱を記録し、人的被害のほか、住宅等の建物被害、高速道路をはじめとする交通インフラに甚大な影響を及ぼしました。

そこで、熊本地震の建物などへの直接的な影響、事業活動を取り巻く環境や経営面への影響などを把握するため、今年6月に大分県内の企業を対象にアンケート調査を実施し、463社から回答を頂きました。

 

■事業活動に関わる直接的な被害状況について教えてください。

アンケート調査の結果、回答を頂いたうち約2割の企業が「建物」に被害を受けました。「建物」に被害があった企業の復旧状況については、約半数が既に復旧しており、年内には9割程の企業が復旧する見通しとなっています。震源地である別府市・由布市では、建物被害のあった企業が半数超を占め、県内の他地域と比較すると突出して高く、被害が集中していることがうかがえます。被害があった企業の復旧状況は、全体結果と同様に、約半数が既に復旧しており、年内には9割超の企業で復旧する見通しです。

 

■今回の地震では、高速道路で大分自動車道の湯布院IC~日出JCTで通行止めとなり、復旧までに1ヵ月弱の期間を要するなど、交通インフラ面にも影響が出ましたね。

大分県の発表(8月23日時点)によると、熊本地震による県内の道路被害は209件で、そのうち26件が未だ全面通行止め等の規制中となっています。そうした道路や公共交通機関などの社会インフラを通じた影響については、特に物流面や集客面への影響がみられています。

物流面への影響については、具体的には運輸・情報通信業で道路の通行止めに伴う、配送時間の長期化や配送コストの増加。また製造業では、自動車関連製造業をはじめ原材料や仕入品の不足・遅延などが発生し、サプライチェーンの寸断に伴う生産活動の停滞がみられました。

集客面への影響については、観光関連産業では宿泊施設・観光施設の多くで地震発生以降キャンセルが相次ぎ、甚大な影響がみられました(影響あり72.8%)。現状では、様々な支援策等により、回復に向かっています。

 

■熊本地震の発生に伴う取引先や市場を取り巻く環境への影響についてはいかがでしょうか。

取引先や市場を取り巻く環境への影響については、販売先・仕入先などの取引先の被害、風評被害、またそれらに伴う消費者の購買行動の変化が主な影響として挙げられます。

業種別に影響をみると、観光関連産業では「風評被害」による影響が8割超と極めて高く、地震発生以降、大分県を含む九州全体への旅行が控えられ、その他の地域へ観光客がシフトしていることが推測されます。製造業では、自動車関連企業や熊本県内の企業と取引のある企業では、取引先の被災により、仕入や納品が一時的に困難になったほか、数日間に亘り生産を停止した企業もありました。また卸売・小売業では、熊本県内に生産拠点のある仕入先の商品供給の減少、生活必需品以外の消費に対するマインドの低下といった影響が出ています。

 

■経営面への影響も懸念されますが、どのような結果になっていますか。

経営面への影響について尋ねたところ、影響が最も大きかったのは売上減少で、4割超の企業で売上が減少しています。観光関連産業では、9割以上の施設で売上が落ち込んだほか、資金調達や資金繰りの悪化も懸念されています。卸売・小売業では、青果物を取り扱う企業で、熊本産をはじめ九州産の農産品の仕入価格が上昇し、販売価格に転嫁できず利益が低下するなど、様々な影響が出ています。

こうした地震の影響を踏まえ、3社に1社は何らかの対応策を講じていることがアンケート結果から分かりました。対策の内容としては、販路拡大などの「営業強化」や「経費削減」「資金繰り対応」などであり、製造業を中心に一部企業では、BCP(事業継続計画)や防災マニュアルの見直し、複数調達先の確保といった危機管理対策を検討しています。また、物流配送拠点やルートを見直す動きもあります。

 

■最後に、今回の調査を通じて分かったことや期待されることを教えてください。

今回のアンケート調査では、 熊本地震の発生が観光関連産業を中心に県内企業に影響を及ぼしていることが明らかになりました。大分県を代表する観光地である別府市と由布市の施設では、地震発生以降キャンセルが相次ぐなど、実際の被害に加え、風評被害も重なり経営環境は厳しい状況が続いています。しかし、7月以降は「九州ふっこう割」をはじめとする支援策の効果から、観光客は回復傾向にあります。今回の熊本地震を契機に、これまで以上に県内外に向けた観光PRの強化や県境を越えた連携をスタートさせており、観光客数の回復とともに、関係者が一丸となって魅力ある観光地を形成していくことが期待されます。

(おわり)