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防災意識に関するアンケート調査について

今回は、大銀経済経営研究所の山田 裕一さんにご出演頂きました。

 

■はじめに、大分県内の最新経済動向はどうなっていますか?

県内経済は緩やかながら一部に持ち直しの動きがみられるといった状況にあります。項目別にみますと、雇用動向は高水準で推移しており、個人消費は持ち直しの兆しがみられます。また、観光面では「九州ふっこう割」等の支援策により、熊本地震による落ち込みから回復に向けた動きがみられます。

 

■今回は、防災意識に関するアンケート調査をされたとの事ですが・・・

東日本大震災から5年が経過した今年4月、熊本県と大分県を震源とした「平成28年熊本地震」が発生し、大分県内でも観測史上最大となる震度6弱の揺れがありました。災害はいつ、どこで発生するかわからないため、常日頃から防災意識を高め、しっかりと備えをしておく必要があります。そこで当研究所では、大分銀行県内本支店の窓口に来店したお客様を対象に、熊本地震発生から約3ヵ月が経過した時点における防災意識について、今年7月にアンケート調査を実施いたしました。

 

■まずは、『「防災の日」の認知度』と、『防災訓練への参加経験』についての調査結果はどうでした?

まず、9月1日が防災の日であることを知っているか尋ねたところ、「知っている」が51%で、「知らない」の49%を若干上回る結果となりました。年齢別にみますと、年齢が高いほど防災の日の認知度は高いという傾向がみられました。防災の日は1923年9月1日に関東大震災が発生し、甚大な被害があったことに由来していて、毎年この時期、全国各地で防災訓練などが行われています。

次に、地域の防災訓練に参加しているか尋ねたところ、「参加したことがない」が48%と最も多く、次いで「あまり参加しない」が23%、「たまに参加する」が22%、「必ず参加する」が7%の順となりました。年齢別にみますと、30歳代以下では6割以上が地域の防災訓練に参加した経験がないという結果となりました。災害発生時には地域での助け合いが非常に重要となるため、若い世代の参加率を高めて、地域全体の防災力を高めていく必要があります。

 

■「災害への備え」に関する調査はどのような結果でしたか?

食料品・飲料水以外の備えをしているか尋ねたところ、4人に3人が何らかの備えをしていました。その具体的な内容として、「非常用品(ラジオや懐中電灯など)の準備」が63%、「自宅近くの避難場所(避難所)の確認」が56%と、対策をしている人の過半数が非常用品の準備や避難場所の確認を行い、いつでも自宅から避難できるよう備えていることがうかがえます。一方、地震による家具の転倒が懸念されますが、「家具の転倒防止対策」は約2割にとどまっています。「熊本地震の揺れで倒れなかったから大丈夫」と安心することなく、規模の大きな地震を想定した対策を進めていく必要があります。

 

■「防災意識の変化」に関する調査結果はどうでしたか?

熊本地震により、防災に対する意識がどのように変化したか尋ねたところ、「熊本地震直後は高まったが、今はやや薄れている」が68%と最も多く、次いで「熊本地震直後に高まり、今も意識は高い」が22%、「熊本地震以前からずっと意識は高い」が5%、「意識はあまり高まらなかった」が4%となりました。地震直後には9割以上の方が防災を意識しましたが、地震の3ヵ月後には、すでに約7割の方が防災意識の薄れを感じていることがわかりました。防災の一番の難しさは「備えの意識をどのように高め、継続していけるか」という点にあります。今後も行政による啓発や地域での防災活動を通じて、熊本地震で高まった防災意識の継続を図っていく必要があります。

 

■「住宅の耐震化」に関する調査はどのような結果でしたか?

現在の耐震基準は「震度6強から7程度で倒壊しない」ことが求められていますが、1981年5月までに建てられた旧耐震基準の住宅が多く存在しています。熊本地震においても、地震の揺れに耐え切れず多数の住宅が倒壊してしまいました。そこで、自宅の耐震補強工事の実施意向について調査しました。

持家の戸建住宅にお住まいの方に、今後、自宅の耐震補強工事の実施予定があるか尋ねたところ、約9割が「実施する予定はない」という結果でした。その理由を尋ねたところ、「お金がかかるから」が約4割と最も多く、以下「耐震性が十分にあるから」、「どのような手続きが必要かわからないから」と続きました。回答内容を、自宅の耐震性を知っている方と、知らない方とでわけてみますと、自宅の耐震性がどのくらいあるか知っている方は「耐震性が十分にある」の回答が多くなっていました。耐震性を十分に把握した上で、補強工事は必要ないと判断していることがうかがえます。一方で、自宅の耐震性を知らない方は「耐震性が十分にある」の回答は極端に少なく、「お金がかかる」や「手続きがわからない」の回答が多くなっていました。今後の大規模な地震による被害を考えた場合、どの程度の耐震性があるかを把握し、対策を進めていくことは非常に重要なことです。この耐震診断や耐震補強工事の費用については補助制度があり、県内各市町村の窓口で申請できます。対象は1981年5月以前に建てられた「旧耐震基準」の木造住宅です。制度の活用も含め、住宅耐震化を検討してほしいと思います。

 

■今回の調査を通じてどのような感想をお持ちですか?

災害発生直後に最も重要となるのは、災害の状況に応じて自分の命は自分で守る行動を適切に行えるかどうかということです。そのためには、常日頃から各自で災害に備えておく必要があります。

日頃からの備えとして、自宅や職場のどこに危険が潜んでいるか、家族や社内で点検しておくことが重要です。自宅の耐震性が不足していれば耐震補強を行う、家具や書類棚が転倒しそうであれば転倒防止の措置をするなど、状況に応じて対策を進めていくことが望まれます。

そして、万が一災害が発生した場合には、自分の身を守る行動をとる必要がありますが、地震の場合には揺れがおさまった後の行動も重要となります。東日本大震災や熊本地震の際も、一度は高台や避難場所へ避難したものの、安全が確認される前に自宅へ戻った方が多数いたため、その後の津波や地震によって人的被害が拡大してしまいました。自分の命を守るためにどのような行動をすべきなのか、常に考えておくことが大切です。今後も県民の防災意識が高まり、対策が進んでいくことを期待しています。