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酉年の2017年を展望して

あけましておめでとうございます。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。経済や金融に関する話をできるだけ分かりやすくお伝えできるよう、今年も頑張りたいと思います。

 

改めて、昨年の金融経済情勢を振り返りますと、6月の英国の国民投票でEU離脱の方針が示されたほか、11月の米国大統領選の結果を受けて金融資本市場が大きく変動した。まさに、「驚」(おどろき)の多い1年でした。また、大分県経済にとって大きな試練の年でした。熊本地震は、家屋や道路、さらには観光などに被害や影響を及ぼしました。 もっとも、こうした強い逆風に県民が一丸となって立ち向かい、また、それを「ふっこう割」を筆頭に、政府・自治体が力強くバックアップすることで、秋口以降は持ち直しの軌道に戻ることができました。大分県民の皆さまの踏ん張りと復興に向けた並々ならぬ努力に、改めて敬意を表したいと思います。また、それを支援して下さった多くの方々に感謝をお伝えしたいと思います。地震の被害は悲しむべきことですが、震災復興の中で一段と強くなった産官民金の「絆」や「連携」は、今後の大分県にとって、貴重なレガシーになったと感じています。

このほか、明るい出来事も数多くありました。東九州自動車道の延伸や、大分空港と台湾中部の台中空港を結ぶチャーター便の就航、数々の魅力ある企業の誘致に成功したことも明るいニュースでした。このように、2016年は、逆風の中でも、今後に繋がっていきそうな数多くの「芽」が出てきた年でもありました。

 

2017年は、大分県経済にとってどのような年になるか、考えてみました。まず、日本全体の景気の足取りは確実に力強くなっています。これは、大分県においてもほぼ同じ動きになっています。そういう中にあって、2017年の大分経済を展望するに当たっての主なポイントは2点です。①「九州ふっこう割」終了後の観光関連の動向、②米国の次期政権下での政治・経済情勢、英国のEU離脱や中国をはじめとする新興国経済の動向が県内経済に及ぼす影響、です。

まず、「九州ふっこう割」終了後の観光関連の動向については、年前半、とくに1~3月については相応に落ち込む可能性があります。一方、これまで余震への懸念から大分への来訪を控えていた層が、徐々にですが戻ってきつつあるとの声も聞かれています。また、海外客に関しても、当初の想定を上回るペースで回復しています。観光業界の復興に向けた自助努力や県や市町村が進める広報活動も着実に身を結びつつあります。それらが、「九州ふっこう割」終了後の落ち込みをどの程度穴埋めできるかが大きなポイントになると思います。ぜひ県民の皆様にも、大分県内の温泉や観光施設に足を運んでいただき、大分県の良さを改めて満喫していただくとともに、観光業の盛り上げに一役買っていただけたらと思います。

次に、観光と同様に大分県の主要産業の1つである製造業を取り巻く環境をみると、大分県からの輸出比率が高い中国では、製造業部門に鈍さを残しつつも、当局が景気下支えに積極的に取り組むもとで、概ね安定した成長経路をたどることが予想されています。この間、米国大統領選後のドル高円安により、わが国の競争条件は改善方向にありますので、仮に現状程度の為替レートを前提にすれば、輸出や収益が従来の予想より上振れる、経済がより良い方向に向かう可能性もあります。ただし、米国の政治・経済情勢、英国のEU離脱、新興国・資源国経済の動向などは不確定要素も少なくなく、上下双方向のリスクが存在するという点については留意しておく必要があると思います。

 

本年の大分県を漢字一文字で表すと、私としては、醸造の「醸」(じょう)、“かもす”という字を挙げたいと思います。漢字の左側が酉偏(とりへん)ですので、“酉年”にもかけています。この「醸」という字には、「時をかけて作る」という意味があります。昨年は、熊本地震の発生により、まずは目先の復旧・復興に全力を注がなければならなくなりました。本年こそは、観光の振興や、企業活動における付加価値の向上、人口減少社会への対応といった中長期的な課題に、じっくりと、かつ着実に取り組んでいくことが期待されます。来年以降、国民文化祭、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックが相次ぎます。さらにその後の本県経済の発展のためにも、長い時間をかけてお酒を“醸”造するように、今のうちから、しっかり、そしてじっくり、“仕込み”をしておきたいものだと考えています。

また、「酉年」だけに、今年J2への昇格を果たした「大分トリニータ」の更なる活躍も期待されます。きっと、大分県応援団"鳥"(だんちょうの“ちょう”は“長”ではなく“鳥”)の「めじろん」も応援してくれると思います。

本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。

(終わり)