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2016年度、2017年度の経済見通し

今回は、大銀経済経営研究所の中山 博文さんにご出演頂きました。

 

■まず、はじめに、大分県内の最新経済動向について教えて下さい。

県内経済は、一部に弱さがみられますが、ゆるやかな持ち直しの動きとなっています。大型小売店販売や観光は横ばい水準で推移、生産の一部に弱い動きはみられますが、乗用車販売や公共工事は持ち直しの動きとなっています。雇用は、11月の有効求人倍率が1.29倍と高水準で推移しています。

 

■大銀経済経営研究所では2016年度、2017年度の経済見通しを発表されたそうですが?

当研究所では毎年、「生産活動」や「個人消費」、「住宅投資」や「設備投資」「公共投資」などの投資動向、「観光動向」や「労働需給」など各分野の見通しを総合して、今年度及び来年度の経済見通し、県民総生産の動きを示す経済成長率を発表しています。今日はその経済見通しについてお話したいと思います。

まず、県民総生産についてですが、県民総生産とは、県内においてどれだけの生産やサービスがされたかを示す指標です。付加価値の合計ともいわれます。

県内で生産された商品やサービスの価格の合計が総生産となり、この総生産の大きさがその県の経済力の大きさになります。

また、経済成長率は、県内総生産が一定期間、今回の場合は1年ですが、変化する率のことです。景気やマクロ経済を図る重要な指標となっています。

さて、今年度もあと残り2カ月となりました。本年度(2016年度)の前半の県内経済を振り返ってみますと、4月の熊本地震の影響や天候不順などから個人消費は弱含みで推移、公共投資は前年度大型工事の反動から弱い動きとなりました。生産活動は、円高の進行や大手企業で大規模な定期修理が実施された影響で、弱含みで推移しました。一方、住宅投資は相続税基礎控除引き下げに伴う節税対策としてのアパート建設が増加して、持ち直しの動きとなりました。雇用環境は所得面では改善が緩やかにとどまりましたが、有効求人倍率は高水準で推移しました。

本年度後半は、円安などが輸出関連産業に追い風となって生産活動は緩やかな持ち直しの動きとなり、個人消費も実質所得の緩やかな改善を受けて底堅く推移する見通しです。公共投資は継続工事を含む大型工事の発注により前年度を上回る水準となり、雇用環境は有効求人倍率が高水準で推移することが予想されます。一方、住宅投資は消費増税再延期に伴う駆け込み需要先送りの影響もあり、持ち直しの動きが鈍化する見込みです。

先程申しました県内総生産の6割以上を占め、県内経済への影響が大きい個人消費についてみますと、年度当初は4月の熊本地震による先行き不安感により低調な動きが続きました。

6月以降は気温が平年より高めに推移したことで、百貨店・スーパーや専門量販店では販売が好調となりましたが、8月以降はその反動や天候不順で伸び悩みました。天候不順により生鮮食料品が高騰したこともあって、家計の節約志向が続いたことも影響したとみられます。

年度後半の個人消費は、気温や天候に左右されるという不安要素がありますが、労働需給のひっ迫に伴う雇用、所得環境の改善や最低賃金の引き上げもあり、落込むことなく推移すると予想されます。

そのような状況のなかで2016年度の県内経済は、ゆるやかながらも持ち直しの動きとなり、政策効果の下支え効果もあり、経済成長率は前年度比0.9%増のプラス成長となる予測となっています。

■来年度の見通しはいかがでしょう?

2017度の県内経済は、米国景気の回復などが輸出を後押して、生産活動は緩やかながら回復することが見込まれ、個人消費は雇用・所得環境の緩やかな改善が下支えとなり前年度をわずかながら上回る水準となる見通しです。また、公共投資は大型工事が前年度からの継続工事も含め予定されており、前年度をやや上回る見通しとなっています。雇用情勢についても有効求人倍率は高水準を維持することが予想されます。一方で、住宅投資はアパート建設需要の一服などから前年度をやや下回り、設備投資は前年度に実施された大規模投資の反動から前年度を下回る見通しです。

個人消費については、低金利が続くなか、生活の一部を貯蓄に頼る世帯を中心に利息収入の減少や社会保障制度の先行き不安などから、消費マインドは高まりにくい状況が続くとみられます。しかし、雇用・所得環境の緩やかな改善が続くことが個人消費の下支えになると見込まれます。

正社員を含め有効求人倍率は本年度も高止まりが続き、所得環境の改善につながると予想しています。また、政府が2017年の税制改正で導入を予定している賃上げを行なう中小企業に対する減税制度の拡充も、所得環境の改善に少なからず寄与するものと考えられます。力強い伸びは期待できないものの、このような政策効果などにより、個人消費は前年度をわずかながら上回る水準となる見通しです。

■来年度は、回復の動きが続くとことですね?

2017年度の県内経済は、力強さには欠けるものの緩やかな持ち直しの動きが続き、前年度比1.2%増、3年連続のプラス成長となる予測しています。ただし、リスク要因として天候や国際的な政治や経済動向により注視する必要はあると思われます。なお、この見通しには今年になって発生した新日鉄住金大分製鉄所の火災の影響は織り込まれていません。

この見通しの詳細な内容については、当研究所が発行予定の「おおいたの経済と経営」2月号に掲載していますので、ご覧ください。

(終わり)