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大分県の外国人宿泊者の動向について

今回は、大銀経済経営研究所の川野 恭輔さんにご出演頂きました。

 

■はじめに、大分県内の最新経済動向はどうなっていますか?

県内経済は、持ち直しています。生産は横ばいの状況ですが、個人消費は乗用車販売が増加傾向にあるなど底堅く推移し、公共工事も前年を上回って推移しています。また、観光については、持ち直しの動きが続いていますが、九州北部豪雨の影響が一部にみられます。

 

■今回は、大分県の外国人宿泊者の動向について調査をされたとの事ですが・・・

日本政府観光局によると、2016年に日本を訪れた外国人は2,404万人と、5年前の622万人に比べて、約4倍に拡大し、訪日外国人が急増しています。大分県においても、県内の観光地では別府や湯布院を中心に外国人観光客が増加しており、外国人観光客の動向が大分県の観光にもたらす影響が大きくなってきています。

こうした中、当研究所では、統計資料の分析や県内の宿泊施設へのアンケート調査を実施し、大分県の外国人宿泊者の動向について調査しました。

 

■まず、大分県の外国人宿泊者数の動向について教えてください?

国の調査によると、2011年に36万人であった大分県の外国人延べ宿泊者数は、2014年に40万人、2015年には77万人と急激に増加し、2016年には83万人と5年前に比べて2.4倍に増加しています。

また、大分県の宿泊者数は、全国47都道府県中16位と上位に位置し、九州では福岡県の267万人に次いで2番目に多くなっています。

2017年も外国人延べ宿泊者数は好調に推移しており、1月から5月までの累計で約62万人となっており、2017年には宿泊者数が100万人を突破する見通しとなっています。

 

■宿泊者はどこの国の方が多いのでしょうか。また、どういった特徴があるのでしょうか?

国籍別の宿泊者数をみると、大分県全体のうち韓国が約54%と半数超を占め最も多く、次いで台湾が14%、中国が10%、香港が8%、タイが3%の順となっています(図表2)。また、国籍別宿泊者数の特徴をみると、大きく3つの特徴があります。

1つめは、韓国人宿泊者の割合が非常に高いことがあります。大分県は先ほど申しましたように韓国人の宿泊者が最も多く54%となっていますが、全国でみると韓国は中国、台湾に次いで3番目で、全体に占める割合が12%となっており、大分県は韓国人宿泊者の多さが際立っています。

2つめは、全国と比べ特定国からの宿泊者が多いことがあります。大分県は、韓国、台湾、中国、香港、タイの宿泊者数上位5ヵ国で宿泊者数全体の約9割を占めているのですが、全国は約20ヵ国で宿泊者数全体の9割を占めており、全国と比べ大分県は特定国からの宿泊者が多くなっています。

3つめは、大分県はアジアからの宿泊者が非常に多い一方、全国は大分県と比べ、アメリカやオーストラリア、イギリス、フランスといった欧米系からの宿泊者が多いことが特徴としてあります

■アンケート調査からみた外国人宿泊者の動向はどうなっていますか?

大分県における外国人宿泊者の現状を把握するため、今年の3月に大分県内の従業員10人以上のホテル・旅館160施設を対象にアンケート調査を実施し、71施設から回答を得ました。

はじめに、5年前と比べた外国人宿泊者数の変化を尋ねたところ、回答した施設の約8割で外国人宿泊者が増加したと回答しています。とくに「2倍以上」増加した施設が3割超、「5割以上」増加した施設が約2割と、外国人宿泊者が大幅に増加した施設が多くみられます。また所在地別でみると、由布市と日田市の半数以上の施設で「2倍以上」増加したと回答しており、外国人宿泊者が非常に増えています。

 

■各施設の宿泊者数全体に占める外国人宿泊者数の割合や、外国人宿泊者の受入頻度はどうなっていますか?

回答施設に宿泊者数全体に占める外国人宿泊者数の割合を尋ねたところ、「1割未満」と回答した施設が半数弱と最も多く、次いで「1割~3割未満」が2割強、「3割~5割未満」が2割近くの順となっています。一方、外国人宿泊者数が「半数以上」と回答した施設が1割強の9施設あり、国内客よりも外国人客が中心となっている施設もみられています。

一方、外国人宿泊者の受入頻度は、「ほぼ毎日」が5割超、「週に1回以上」が2割超となっており、回答施設の4施設中3施設で毎週外国人宿泊者を受け入れているようです。また、所在地別に「ほぼ毎日」と回答した施設の割合をみると、由布市が8割超、別府市が7割近く、日田市が6割となっており、由布市の受入頻度が最も高くなっています。

 

■県内の宿泊施設が、今後、積極的に誘致したいと考えている国はどこですか?

今後、ターゲットとしたい外国人宿泊者の国籍を尋ねたところ、台湾、韓国、アメリカ、香港、中国、タイの順となっており、台湾からの宿泊客をターゲットとしたいと考えている施設が最も多くなっています。台湾が最も多い理由としては、台湾には親日家が多く、韓国や中国と比べ政治情勢に左右されにくいことがあります。また、大分空港と台中市を結ぶマンダリン航空の定期チャーター便が就航し、台湾からの観光客が増加傾向にあることも理由としてあります。

また、現状はアジアからの宿泊者が多いですが、今後はアメリカやヨーロッパといった欧米からの宿泊者をターゲットとしたい施設が増えているようです。欧米からの観光客はアジアからの観光客と比べ滞在期間が長く、宿泊単価が高いことを理由にあげています。

 

■今回の調査を通じてどのような感想をお持ちですか?

これまでの外国人観光客の訪問先は東京や大阪などの都市圏が中心でしたが、現在は、一度日本に訪れたことがある外国人観光客がリピーターとなり、訪問先が都市部から地方へと広がってきています。大分県においても外国人宿泊客は増加傾向にあり、2017年は100万人を突破する見通しで、今後、外国人観光客はさらに増加していくことが予想されます。特に大分県は2019年のラグビーワールドカップ日本大会の開催地という追い風もありますので、欧米を中心に今後は高まるインバウンド需要をいかに取り込み、県内経済の発展につなげていくか、その対策が非常に重要となってくるのではないでしょうか。

(終わり)