OBS

「醤油」に関する調査結果について

今回は、大銀経済経営研究所の平山 翔悟さんにご出演頂きました。

 

■まず、はじめに、大分県内の最新経済動向について教えて下さい。

県内経済は緩やかに持ち直しています。生産は一部弱含みで推移していますが、個人消費は乗用車販売が着実に回復するなど底固く推移しています。有効求人倍率は引き続き高い水準で推移しています。

 

■今日はどのようなお話でしょうか。

今日は、ご家庭でも馴染みの深い「醤油」に関する調査結果についてお話します。

経済産業省が公表している「2014年工業統計」によると、大分県の醤油の出荷額はおよそ51億円と、全国で7番目の規模を誇っています。醤油の出荷事業所数は全国で15番目、従業員数は全国で7番目と、いずれも高い水準にあります。

ただ、醤油の出荷量は年々減少傾向にあります。日本全国の年間の醤油の出荷量は1970年代から80年代はおよそ120万klで推移していました(これは小学校の25mプールの約3,300杯分の量に相当します)。90年代に入ると、醤油の出荷量は徐々に減少を始め、昨年の2016年には年間の出荷量がおよそ78万klと、ピーク時の3分の2にまで減少しました。

 

■出荷量が減少しているのには、どういった理由が考えられますか。

醤油の出荷量が減少している理由として、主に2つのことが考えられます。1つ目は、食のグローバル化の進展です。食べるものが煮物など日本食中心であったのがカレーライスやパスタなど洋食を食べることが多くなって、醤油を使う料理、醤油を使う機会が以前よりも少なくなってきているということです。2つ目は、高齢化の進展による国民の食細りです。一般的に歳を取ると食欲は減退していきます。人口はここ25年間では大きく減ってはいませんが、この間に高齢化率は急速に上昇しており、それに伴って食べる量自体も減ってきている、ということになります。

 

■醤油の動向に関して、他に変化などはありますか。

醤油の出荷量は減少していますが、もう少し厳密にいうと、醤油は最終的に醤油として消費者の元へ届くものと、つゆやたれといった醤油を加工してつくられる醤油加工品として消費者の元に届くものがあります。このうち、醤油そのものの出荷量は減少していますが、醤油を加工してつくられるつゆやたれといった醤油加工品の出荷量は堅調にのびています。

総務省の家計調査によると、年間に支出する金額は1990年代初めはつゆ・たれと醤油は1世帯当り3,000円前後と同じくらいでしたが、2014年には醤油にかける金額が年間で平均2,000円前後であったのに対し、つゆ・たれは平均4,400円前後と、約2.2倍にまで差が広がっています。これは、共働き世帯が増加し、手間をかけず簡単に料理に使えるような調味料が好まれるようになってきていることが背景にあるのではないかと考えられます。

 

■調味料に関するアンケート調査を行ったということですが・・・

はい、当研究所では、県内に在住の方を対象に、調味料に関する消費者アンケートを実施しました。その結果についてお話します。

まず、普段使う調味料として特に使用頻度が高いものについて聞いたところ、「醤油」と回答した人が最も多く、全体の約8割の人が回答しました。2位の「塩」の約5割を大きく上回りました。続いて、多少価格が高くてもこだわって購入する調味料について聞いたところ、「醤油」が最も高く、35%の人が回答しました。これらの結果から、醤油は他の調味料と比べると使用頻度が高く、消費者にとっては多少価格が高くてもこだわって買いたいと思う調味料であるといえます。

 

■鍋スープの素など、料理毎の専用調味料の使用頻度についてはどうですか。

料理をする際に、鍋スープの素など料理毎の専用調味料を使用する頻度について質問したところ、「だいたいいつも専用調味料を使っている」、「どちらかといえば専用調味料を使っている」と回答した人は65%と、約3分の2の人が回答しました。反対に、「ほとんど、もしくは全く専用調味料を使っていない」と回答した人はわずか1割にとどまりました。このことから、多くの人がすでに出来上がった料理毎の専用調味料を好んで使用している現状が見て取れます。

 

■他にはどのような質問をしましたか。

少し視点を変えて、「ギフトとしてこだわりの調味料をもらうとどのように感じるか」という質問も行いました。その結果、34%の人が嬉しい、43%の人がどちらかといえば嬉しいと回答しました。両方合わせると8割近くの人がプラスと感じるという結果になりました。特に若い年齢層で好まれる傾向が強く、20代後半では93%の人が「嬉しい」または「どちらかといえば嬉しい」と回答しました。嬉しいと回答した理由については、「必ず使うものなので無駄にならないから」といった回答や、「高いものは自分では購入しないから」といった回答が多く見られました。

 

■最後に今回の調査のまとめをお願いします。

醤油の出荷数量は以前と比べると減少傾向にはありますが、今回の調査結果から、醤油は依然として家庭において多く使われている調味料であり、なくてはならない調味料であるということが分かりました。一方で、食の嗜好やスタイルが変化し、料理は出来るだけ簡単にしたいという人が増えてきており、自分では調合せずに既に出来上がった専用の調味料を使用することが多くなっていることも事実です。また今回の調査では、若い人を中心にギフトとしての調味料の需要は高いということも判明しました。ギフトとして調味料をもらうことが一つのきっかけになって料理に関心を持つ人が増え、時間をかけても自分で料理をしたいという人が増えれば、県内の醤油の市場にとっては喜ばしいことではないでしょうか。

(おわり)