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年次有給休暇について

今回は、大銀経済経営研究所の野上 諭さんにご出演頂きました。

 

■まず、はじめに、大分県内の最新経済動向について教えて下さい。

県内経済は、持ち直しています。生産は横ばい水準で推移しているほか、個人消費は回復の兆しがみられます。観光は外国人観光客の増加が好調なほか、雇用では有効求人倍率が1.43倍と高水準で推移しています。

 

■今日は有給休暇について調査をされたということですが・・・

昨年度、当研究所では厚生労働省から委託を受け、大分市とも連携し「地域の特性を活かした休暇取得促進に向けた環境整備事業」を実施しました。具体的には七夕まつりや食と暮らしの祭典といった大分市のイベントに合わせて年次有給休暇を活用し、お祭りなどに参加する時間、家族と触れ合う時間、自分のための時間を作り、ワーク・ライフ・バランスの実現を図るというものです。

今回は、その事業の中で実施したアンケート調査の結果をもとに、大分市内の企業や従業員の皆さんの年次有給休暇取得状況等についてお知らせします。

 

■大分市内の年次有給休暇の取得状況はどのようになってますか?

大分市内の各企業に対し、前年度1年間における年次有給休暇の取得率を尋ねたところ、平均取得率は40.3%でした。業種別にみると、「製造業」や「医療・福祉業」では5割を超えた一方、「卸売・小売業」では約3割と、他の業種に比べ低くなりました。

従業員規模別では従業員数が「200人以上」の企業では平均取得率が6割近くあったのに対し、「50人未満」の企業では4割を下回りました。業種や従業員規模で年次有給休暇の取得状況に開きがあり、それぞれの業種や従業員規模に応じた休暇取得促進策が求められています。

一方、従業員に対し、日頃の年次有給休暇の取得状況を尋ねたところ、「年間6~10日程度取得」が3割で最も多くいましたが、「ほとんど取得しない」とする回答も2割近くいました。従業員規模が「9人以下」の従業員は「ほとんど取得しない」とする回答が3割近いなど、従業員数の少ない先では年次有給休暇の取得が難しいようです。また、企業と従業員の間で休暇の取得等について話し合う機会があると答えた従業員は、機会の無い従業員と比べて休暇の取得日数が多い傾向にありました。

 

■年次有給休暇が取得されにくい理由については、どのような調査結果に?

年次有給休暇の取得がされにくい理由について尋ねたところ、企業では「代替が可能な人員体制ではないため」が約4割と最も多く、次いで「休んでもかえって本人が多忙になるため」、「仕事の量が多く休んでいる余裕が無いため」、「休むと職場の他の人に迷惑がかかるため」と続きました。

一方、従業員では「休んでもかえって本人が多忙になるため」が約3割で最も多く、次いで「休むと職場の他の人に迷惑がかかるため」、「代替が可能な人員体制ではないため」、「病気や急な用事のために残しているため」と続きました。

年次有給休暇の取得がされにくい理由について、企業は代替可能な人員体制でないことや取引先への対応、交代勤務を理由とする割合が従業員より高いなか、従業員は休んでも本人が多忙になることや職場の他の人に迷惑をかけること、病気等への備え、職場の雰囲気、罪悪感、上司への配慮などを理由とする割合が事業場より高く、両者の間に一部で認識の相違があることがうかがえました。

 

■年次有給休暇を取得しやすくするための取り組みについては?

年次有給休暇を取得しやすくするための取り組みを尋ねたところ、企業では「代替要員の確保など、休暇中のサポート体制」が約3割で最も多く、次いで「年次有給休暇の取得の義務化」、「休暇を取りやすくするための職場の雰囲気の改善」の順でした。

従業員では「年次有給休暇取得の義務化」が約4割で最も多く、次いで「休暇を取りやすくするための職場の雰囲気の改善」、「年次有給休暇の計画的な付与制度の導入」の順でした。

 

■年次有給休暇がもたらすメリットについての調査結果については?

年次有給休暇が企業に与えるメリットを尋ねたところ、企業・従業員ともに「従業員の心身の健康につながる」が約7割、「従業員のモチベーションの向上」が約6割となり、企業も従業員も、積極的な年次有給休暇取得がもたらす効果に対して、共通の認識を持っていることがうかがえました。

 

■年次有給休暇の調査結果についての「まとめ」をお願いします

休暇取得促進を含むワーク・ライフ・バランスの実現のためには、経営者層の理解が不可欠であり、年次有給休暇を取得しやすい雰囲気は経営者層の意識に左右されます。

労使の話し合いの機会を設けること、業務の平準化や見直しを通じて代替人員の確保等の休暇中のサポート体制を整えて休暇を取得しやすい環境を整備すること、計画的付与制度を導入することなどの休暇を取得しやすい環境づくりを、企業の実情に応じて行うことが重要と思われます。

誰もが休暇を取得しやすい職場環境の整備は、従業員の定着や優秀な人材の確保にもつながります。すべての人がしっかりと休み、生き生きと働き続けられる環境づくりに地域全体で取り組むことが重要ではないでしょうか。

 

■最後に、大銀経済経営研究所では今年度も同様の事業を行っているということですが。

当研究所では、今年度も引き続き厚生労働省の委託を受け、「地域の特性を活かした休暇取得促進のための環境整備事業」を実施しております。今年度は8月と10月を年次有給休暇取得の重点実施期間と位置づけて、期間中の年休取得促進を行っていきます。「しっかり働き、しっかり休もう!」をテーマに、それぞれの期間中に開催される大分市内のイベントやお子様の夏休み、地域の行事等に合わせて年次有給休暇を活用し、ワーク・ライフ・バランスの実現を図りましょう。

当研究所のHPでは本事業のパンフレット等も掲載しております。また、厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、専用指標によって企業診断ができる「働き方・休み方改善指標」や企業における取組事例など働き方・休み方の見直しにつながる各種情報が掲載されておりますので、是非ご活用ください。大分市内の企業や従業員、市民の方々にぜひご協力、ご参加いただけますよう宜しくお願い致します。

(終わり)