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「県内の移住支援制度」について

今回は、大銀経済経営研究所の近藤卓さんにご出演頂きました。

 

 

■はじめに、大分県内の最新経済動向はどうなっていますか?

県内経済は、緩やかな持ち直しの動きが続いています。生産活動は横ばい圏内で推移しています。一方、住宅着工は持家などの着工が堅調で前年を上回る水準で推移し、有効求人倍率は高い水準で推移しています。

 

 

■今回は「県内の移住支援制度」についてということですが…

総務省では5年ごとに国勢調査を実施しています。2015年の調査では、日本の人口が5年前と比べて初めて減少し大きな話題となりましたが、大都市圏以外の多くの地域では、もっと早い時期から人口は減少しています。こうした人口減少への対応などから、多くの自治体では、移住の支援に取り組んでいます。そこで、今回は移住について県内の状況を紹介します。

 

(1)大分県内への移住の相談件数、移住者数
県が公表した資料によりますと、大分県内への移住相談件数は、昨年度(2017年度)は1,782件でした。5年前の2012年度は196件でしたので、この5年間で約9倍まで増加しています。また、大分県内へ移住した人数についても、2017年度は1,084人と、こちらも5年前(186人)の約6倍まで増加しています。移住の相談や移住者が大幅に増えた理由としては、大分県が2015年度から移住や定住の対策を本格的に始めたことや、各市町村で移住者を受け入れる体制が整備されてきたことが挙げられます。大銀経済経営研究所では、九州内の各市町村での移住への支援状況を把握するため、移住支援制度に関するアンケートを昨年10月に実施しました。

 

(2)九州の各市町村へのアンケート

アンケートは、九州内の233市町村に送付し、148の市町村から回答をいただきました。

 

(移住支援への取り組み状況)

まず、移住支援への取り組みを行っているかどうかを尋ねたところ、「取り組んでいる」が85%と最も多く、「検討している」が12%、「取り組んでいない」が3%と、ほとんどの市町村が移住支援に取り組んでいました。
九州各県別に見ますと、大分県では94%の市町村が「取り組んでいる」と回答しており、宮崎県と並んで最も高い結果となりました。大分県は、移住支援を積極的に行っている県だといえます。

 

(移住希望者へのPRの方法)

次に、移住を希望する人へどのようなPRを行っているかを尋ねたところ、多かった回答は、「パンフレットの作成」、「専用ホームページの開設」、「セミナーや相談会の開催」で、それぞれ約7割の市町村が実施していました。移住者が増えている市町村について見てみますと、「専用ホームページの開設」、「セミナーや相談会の開催」、「専門誌への掲載」などのPRを行っている市町村が多く、こうした取り組みの効果が高いと考えられます。

 

(実施している移住支援制度)

移住者や移住を希望する人に対して実施している支援制度について尋ねたところ、8割以上の市町村が「空き家バンク」、「住宅の建築・購入やリフォーム費用の補助」、「子ども向けの医療費助成」を行っていました。さらに、利用頻度が高い支援制度の上位3項目を尋ねたところ、「空き家バンク」が56%と最も高く、「住宅の建築・購入やリフォーム費用の補助」が54%、「子ども向けの医療費助成」が46%でした。なお、移住者が増えている市町村では、住まいや移住体験に関する移住支援制度の利用頻度が高い傾向が見られました。

 

■ 最後に

人口が減少するなかで多くの市町村が移住の支援に取り組んでおり、各種アンケートでも地方へ移住したいと考える人は一定程度存在します。一方で、実際に移住を決断するときには「仕事」や「住まい」があるかが重要です。
また、移住しても地域に馴染めないとか、移住前に想像していた環境と違うといった理由で定住につながらないこともあります。そこで、移住したいと考えている人が実際に移住し、住み続けることができるよう、移住する前には仕事や住まいについての具体的な情報を提供し、移住した後も何か困っていることがないかを聞くなど継続的にフォローをしていくことが重要です。
なお、移住支援制度は移住希望者の決断を後押しするのに重要ですが、優れた取り組みを他の市町村も取り入れることで、支援制度面での市町村間の差は小さくなります。そこで、移住者だけでなく「関係人口」を増やすことも1つの方法です。関係人口とは、地域や地域の人々と様々な場面で関わりあう人をいいます。移住までは至らなくても、その地域でイベントなどがあるときに主体的に参加する人が増えると、地域の活性化につながります。では、どうやって関係人口を増やすかというと、その地域がもっている魅力を発掘して情報を発信していき、地域のファンを増やすことが大切だと思います。また、その地域の出身者やその地域で働いたことがある人、ふるさと納税の利用者など、その地域に関心を持っている人へアプローチすることも有効です。
今回のアンケート結果の詳細につきましては、当研究所発行の「おおいたの経済と経営5月号」に掲載していますので、そちらをご覧ください。

 

(おわり)