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衛藤賢史のシネマ教室

マネー・ショート

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   2016/03/08

本年度のアカデミー脚色賞(原作本を基にした脚本の事)を獲得した作品だ。
サブプライム・ローンに端を発する、いわゆるリーマンショックの勃発は、世界経済を震撼させる出来事となった!この作品は金儲けに狂奔したウォール街の金融業界のカラクリに気付いた金融トレーダーたちが、その足元をすくい大金を手に入れようとする知的かつ刺激的なブラック・コメディの秀作となっている。
2005年、精神科医で金融トレーダー(金融取引仲介人)のエキセントリックだが数字に滅法強いマイケル・バーリは、権威のある格付け会社から高い評価を与えられている不動産抵当証券の中にサブプライム(低所得者向けの住宅ローン)などの危ない商品が混じっているのを知る。こういった優良証券に返済の見込みの少ないローンが混入しているという事は、数年後にデフォルト(債務不履行)に陥ると見込んだマイケルは、この住宅バブルが崩壊すれば投資金の何十倍もの利益を得ることのできるデリバティブ取引を彼の投資家たちに進めるが、バブルの絶頂期であり誰もが首をかしげた。
だが、このマイケルの主張にウォール街の銀行家ジャレド・ベネットが動き、道徳心の強いモルガン銀行の子会社のチーフであるマーク・バウムを説得する。
マークのチームはサブプライムの実地調査を始めて、低所得者が組むローン手法の雑さに愕然とする。これが優良証券としてまかり通る金融業界のシステムの巧妙さに激怒するマーク。しかし同時にそれは、マークたちも大金を手に入れるチャンスでもある。
その頃、20代の投資家ジェイミーとチャーリーも、この住宅バブルに目をつけ、辣腕の銀行家だったベン・リカートと手を組みサブプライムの崩壊を待っていた。
そしてこの好景気は永久に続くと傲慢になっている金融業界を相手に、このそれぞれが知らない同士の投資家たちの大勝負が始まるのだった…。
まず言っておきたいことは、この作品に関して見終えた後パンフレット購入をお勧めします。何しろ小難しい経済用語満載で、経済オンチのぼくは大変参考になったので!
でも映画は面白かった!変な推理物よりスリリングでかつユーモアがある啓蒙書みたいな作品でした。物を生産しないでただ金だけを右から左でと回すだけで巨万の富を築く資本主義の行き着く果てを見る内容は、現在の格差社会の現況をあぶり出してくれ、それがまたエンタテインメントなんて!アメリカ侮るなかれを感じる映画でしたよ!!
ぼくのチケット代は、2,300円出してもいい作品でした。
星印は4つ差し上げます。

5点満点中4点 2300円

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