石灰岩 ( せっかいがん)

日本一の石灰鉱床、生まれは南の海

 石灰岩は主に 方解石(ほうかいせき) (炭酸カルシウム= )からできている白い岩である。石灰岩の起源は有孔虫類、サンゴ類、石灰藻類などの殻や骨格などの生物起源のものと、海中から直接化学的に沈殿した無機起源のものとあるが、一般に生物起源のものが多いといわれている。大分県の場合も各所に 化石 が含まれており、生物起源のものと思われる。
 石灰岩層はもともと海底に堆積したものであるが、続成作用と呼ばれる膠結作用、結晶作用、圧密作用などにより、部分的に方解石の結晶を含む硬い岩石となり、更に 地殻変動 により、現在、陸上に見られるようになったものである。
〈どこからやってきたか〉
 最近の プレートテクトニクス 学説によると日本列島の 秩父帯 に含まれる石灰岩は現在の太平洋中央部の赤道付近に存在したという、幻の大陸“パシフィカ”にあった サンゴ礁 などに堆積したものが、大陸の分裂により、また、プレートの移動で、あるものは北米大陸、日本、中国に。南半球にいったものは南米大陸などに移動していったと考えられている。
 日本の石灰岩は古生代シルル紀(4.4億〜4.1億年)から現在も生成しつつあるサンゴ礁まであるが、石灰石鉱山として稼行されている大規模な鉱床は古生代石炭紀(3.6〜2.8億年)、二畳紀(2.8〜2.4億年)のものが多く、その中でも二畳紀のものが最も多い。その他、中生代の三畳紀(2.4〜2.1億年)、ジュラ紀(2.1〜1.4億年)に生成されたものが一部を占める。
 石炭紀から二畳紀の石灰岩には当時、繁栄していた フズリナ (紡錘虫=米や麦の 籾(もみ)程度の大きさで、紡錘形をなす)の化石が多く含まれ、 示準化石 (時代判定の目安となる化石)として利用され、地層の分帯に用いられる。
 石炭紀、二畳紀のフズリナによる分帯例は第1表のとおりである。
〈日本一の石灰鉱床〉
 津久見地区の石灰岩は津久見市、臼杵市、大野郡野津町にわたり、津久見市の海岸地区の 水晶山 から南西に、国道10号線の 泊 、さらに 白岩 まで、延長20qの間に位置する。石灰岩の推定埋蔵量は45億tともいわれている。
 当地区内の稼行鉱山は 戸高鉱業社 、 小野田セメント 梶A 日鉄鉱業 梶A 津久見鉱業 梶A 大分鉱業 鰍フ5社がある。
 地下資源としての石灰石は昭和46年度(1971〜2)以降、福岡県を抜いて全国第一の生産県となった。
  秩父古生層 中の主として二畳紀の石灰岩であるが、津久見地方のものが最も大きく、幅が1,000〜2,000m、津久見の海岸から20qにわたって続いている。純度が高く、非晶質塊状の優良鉱である。
 昭和61年度の石灰石の生産量は全国で16,200万t、大分県は2,400万tで全国1位、次いで福岡県(1,850万t)、続いて山口県、高知県、栃木県となる。石灰石は実に県下の鉱産資源全生産額の80%を占める。石灰石の賦存状況をみても、今後長期にわたり、全国一の生産量を続けるものと思われる。
 県下の秩父帯の古生層は北から 鎮南山帯 、 津久見帯 、 明治帯 、 中野帯 の4帯に区分され、更に細かい層序区分がなされている。わが国第一といわれる石灰石鉱床すなわち津久見石灰岩体は秩父帯の中央部にある津久見帯中にある津久見層に含まれている。
 津久見帯は下位より上位に5つに分けられる。下位から 水晶山層 (=石炭紀中期)、 奥川内層 (=化石未発見 時代不詳)、 小園層 (=二畳紀前〜中〜後期)、 津久見層 (=三畳期下部)となっている。
 これらのうち、津久見層は水晶山を東端として、南西方向に、幅1〜2q、大野郡野津町の泊 白岩まで連続して分布する。本層は厚層の石灰岩を主体とし、石灰岩層中にドロマイト(カルシウムの他、半分子がマグネシウムに置きかわったもの)、 粘板(ねんばん)岩 、 輝緑(きりょく)岩 、 チャート (珪質岩)などを挟有している。石灰岩層の各部分からフズリナの化石を産し、その地質時代は二畳期前〜後期に及ぶ。また、津久見層は津久見石灰岩層の主要な部分を構成している訳である。
 大分県内で最も古い化石を含む石灰岩層は三重町の 三国(みくに)峠付近の 奥畑(おくばた) (奥畑層=シルル紀 4.16〜4.46億年)にあり、クサリサンゴ(Schedohalysites kitakamiensis)とハチノスサンゴ(Favosites.sp.)が発見されている。この石灰岩はやや赤味を帯びている。東北や四国など数ケ所から産出するのみである。最近、岐阜県でオルドビス期(5.09〜4.46億年)の貝形虫の化石発見が報ぜられるまで、日本最古の化石といわれていた。
 このほか、中生代の石灰岩は南の 四万十層(しまんとそう) 中にあり、鳥ノ巣層(ジュラ紀)のものと思われる。魚卵状の 状(じじょう)石灰岩であるが、薄いものである。
[森山 善蔵]

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