海原みどり 10/2(木)

NO.63「対岸の彼女」
著者:角田光代
出版社:文春文庫
小泉今日子主演の映画にもなった「空中庭園」の作者で、今注目の女流作家の一人に挙げられる角田さんの直木賞受賞作。
30代半ばの専業主婦・小夜子が面接試験に受かって働き始めたのは、「プラチナ・プラネット」という名の弱小旅行会社。アジアのリゾート地を専門に旅の企画や手配をする旅行社である。といっても、彼女の仕事はそういった旅行関係のものではなく、女社長が気まぐれに始めたハウス・クリーニング業務のスタッフ。(長期間、旅行で家を留守にする人は、ハウス・クリーニングを必要とするだろうから、これから商売になるという発想から思いついたらしい)
仕事も覚え、やりがいも感じ始めた小夜子。社長の葵とは、偶然、大学の同窓生であることがわかり親近感をおぼえた2人だが、結婚している・していない、子どもがいる・いない、雇用する側・される側で、生き方や考え方が違っていることに気づき、次第に距離をおくようになる・・・。
この小説のように、女性の場合、既婚・未婚か、仕事をしている・専業主婦など、生活環境の違いによって生き方も違ってくるので、学生時代にどんなに仲がよくても次第に疎遠になるケースが多い。
私自身30代の頃には、仕事で知り合った女性たちとのつきあいがほどんどだった。しかし、人生のターニングポイントを過ぎた今、にわかに学生時代の友達や昔の友人たちと再会し、おしゃべりをすることが多くなった。
ある一定の年齢までは、独身者は結婚して精神的安らぎを得た友に憧れる。一方、既婚者から見れば経済的に自立し自分で自由なライフスタイルを楽しめる独身女性が羨ましいらしい。要するに、<隣りの芝生は青く見える>のだ。
年齢を重ねていくと、お互いの人生の選択を客観的にみることが出来るような気がする。自分で選んだ道。他人をうらやむことなく、自分で楽しみを見つけていく人生をつくっていけばいい。
それぞれの立場を尊重し理解しながら、女性がもう一度友情を育むのは40代に入ってからだと思う。アラフォー世代におすすめの一冊。
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