海原みどり 10/16(木)

NO.72「話す冥利 聞く冥利」
著者:永 六輔
出版社:知恵の森文庫
自称「ラジオタレント」の永六輔さんが、長寿番組の「誰かとどこかで」「土曜ワイドラジオTOKYO」の放送で話したこと、各地の講演での言葉を活字としてまとめたもの。ひとつひとつ小さなエピソードをまとめたエッセイのようでもあり、読みやすい。

中でも興味深かった話は、
・「数え方の辞典」を執筆した言語学者、飯田朝子さんの言葉。
“水族館の魚はすべて一尾二尾ですが、市場では種類や形状で呼び方が違います。サンマは長いので一本、ヒラメは平面的なので一枚、カツオは一本。スルメイカは中が空洞なので一杯、ホタテ貝は一枚、サザエは一個。
マグロは解体した部位で違って、大きく割ったのは一丁。板状になると一枚、赤身のようなのは一サク、固まりの部分は一コロ、パックになると一山・・・・”
なるほど、なるほど・・・。

・音読のすすめで有名になった斎藤孝先生は、コミュニケーションの達人でもある。
講演会などは会場にいる人に働きかけて何かをさせることがうまいとか。
“寒いのが苦手なんです。場が冷えていると、いやなんです。自分だけがしゃべっていると寒いので、暖まる仕掛けとして聞いている人同士が話すように仕向けるんです。好きなものについて語る時、だれしも一番調子がいいんですよ”。

・永さんの番組の常連の大橋巨泉さん、愛川欽也さん。呼ばれもしないのに、登場するらしい。そして、ピリッとした辛口コメントが好評。
“日本人は、付和雷同する傾向が強いね。ひとつの新聞、ひとつのテレビが言い始めると、あっというまに横並びで、どこも変わらない論調になるでしょう。根底にあるものは、日本人の横並び意識だね。生活レベルの横並びは、それが他の倫理観まで左右して、突出した人間を排除する。そして、弱い人間のことを考えてあげることを忘れている。他の人の価値観も尊重しなければならないと思うよ”。
巨泉さんの反骨精神は、こういう考えが根底にあるのかと思うと尊敬する。

・ジャズシンガーの綾戸智絵さんのステージを見て、しみじみ「うまいなあ〜」と感じた永さん。声量が豊かで、歌が上手くて、リズム感がよくて。綾戸さんをどう評するかでパッと浮かんだのが、「あの人はエノケンだよ!」
歌だけではなく、あの存在感、身体の動き、コミカルな語りと表情・・・。
一度、彼女のステージを見たら虜になる。さすが、プロだなあという感じ。
永さんに、同感である。
[日記一覧]
(C)OBS