海原みどり 10/20(月)

NO.74「愛する能力」
著者:瀬戸内 寂聴
出版社:講談社文庫
寂聴さんの魅力は、<柔らかい心>を持っていること。
今年は、【パープル】(紫式部にもじって)のペンネームで携帯小説の執筆にも挑戦。
「若い人の間で話題となっている携帯小説も、なんだか面白そうだわ!」との好奇心から書いてみたとのこと。小説の大家であれば、普通、「あんなものは小説とはいえない」と眉をひそめたりするのがオチなのに、「何でも若い人のすることをけなしてはいけない。時代というものは変化するものだし、ブームになるからにはそれだけ人を惹きつけるものがあるのだから・・・・」と、屈託がない。

80代半ばだというのに、日々、精力的に執筆や講演をこなし、泥酔する程飲むこともある。
いつもニコニコしてユーモアたっぷりにおしゃべりする寂聴さんの印象が強いが、平和や命の大切さを語る時は、作家というよりも一僧侶としての熱い想いを感じさせる。

この本は、2002年から丸2年間、主に新聞に発表をした随筆をまとめたもの。
90歳を過ぎた日野原重明先生をはじめ、仲のよい作家や友達との楽しい交流、四季折々の京都・嵯峨野の寂庵の風景など心温まる話もあれば、イラク戦争で傷ついた人々を思って心を痛めたり、人を愛する気持ちを失って肉親を殺したり、無差別殺人が多い社会を憂うる一文も。

短い文章の中に寂聴さんの人柄や、物の考え方の指針が感じられる。
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