海原みどり 10/29(水)
NO.77「日経 五つ星の美術館」
著者:日本経済新聞(編)
出版社:日本経済新聞出版社
現在、日本国内には1000を超える美術館があるという。
特に公立美術館は地方における文化の拠点であるばかりでなく、ユニークな企画展をおこなったり、埋もれている地元作家を発掘するなど、その功績は大きい。
そこで、全国の主要な公立美術館134館を対象に、日本経済新聞社が2006年に実施した<美術館の実力調査>をまとめたのがこの本である。
展覧会の企画や作品収集・保存・調査など研究活動の充実度を指す「学芸力」、入場者数の多さや美術館運営の安定度を測る「運営力」、学校や医療・福祉施設・商業施設との連携したコミュニティ活動をとらえる「地域貢献力」の3つの観点から判定し、星の数でランキングするというもの。
総合ランキング1位に選ばれたのは、【横浜美術館.】。
地域のアートを発信する文化芸術創造都市つくりに力を入れている横浜市。「美術館は、こうした中核を担える施設だ」という中田宏・横浜市長の言葉を裏付けるように、横浜美術館では慶応大学の学生や院生が学芸員と共同で調査・広報活動を行ったり、地元ショッピングセンターやホテルとたびたびイベントを行うなど、地元商業施設との連携で地域活性化にも努めている。
特に、60万人の入場者数を記録した2005年度の「ルーブル美術館展」の会期中は市内すべての大型ホテルで宿泊・食事プランなどを企画し、大きな経済効果を上げたということだ。
また、運営費の削減、指定管理者制度の導入と、厳しい経営改革の嵐が吹く中、「市民一人ひとりと密着した活動こそが公立の使命」と、2006年度は一般市民と学芸員が展覧会を作り上げる<市民キュレーター>プロジェクトも展開。全国の公立美術館も大いに参考になるところであろう。
この調査の総合評価では、九州の美術館でいうと、10位「福岡市美術館」、13位「熊本市現代美術館」、17位「福岡アジア美術館」、30位「北九州市立美術館」、33位「大分市美術館」、54位「熊本市立美術館」「鹿児島市霧島アートの森」がランクイン。
上野の高台にある絶好のロケーションと、モダンな建物、個性的でユニークな企画展で楽しませてくれる大分市美術館も大好きだが、県立美術館の創設も強く望まれる。
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