海原みどり 11/13(木)
No.81「復讐はお好き?」
著者:カール・ハイアセン 著(田村義進 訳)
出版社:文春文庫
結婚記念日旅行の豪華客船クルーズ中に、夫のチャズから海に突き落とされた妻ジョーイは、学生時代に水泳選手だったこともあり、フロリダ沖の小さな島にたどりつき、そこに住む元捜査官のミックに助けられ、九死に一生を得る。自分を殺そうとしたろくでなしの夫のことを「このままで、すますものか!」とミックに協力を求め、復讐を果たしていくという痛快小説。
男勝りで早とちり、かつチャーミングな主人公ジョーイ。とりえは顔がいいことだけで不誠実、女たらしの生物学者、チャズ。長いこと小島に独り暮らしのため浮世に疎いが、いざとなれば頼りになるミック。船からの転落事故は<殺人>の疑いがあると信じ、執拗にチャズを追い回し捜査する敏腕刑事カールの趣味は、大蛇を飼うこと。スピリチュアルにはまっているチャズの愛人・・・。ひと癖もふた癖もある個性的な登場人物がいい味を出している。
アメリカ流ユーモアセンスにあふれ(翻訳も上手いのだが)テンポあるストーリー展開で非常におもしろい読み物だった。
著者のカール・ハイアセンはアメリカでは絶大な人気を誇るベストセラー作家。もともとは硬派な社会ネタを扱う新聞記者でジャーナリストとして活躍していただけに、小説の中ではいつもフロリダの乱開発など、環境問題も主要テーマになっている。
本書の中でも、フロリダに広がる大湿地帯の国立公園で水質汚染を調査する仕事をしているチャズが、数値改ざんを行って業者から賄賂を貰っていることがばれたと思いこみ、妻殺害を計画。皮肉なもので環境破壊を続けた犯罪者たちは、その地で命を落とす結末となる。
勧善懲悪というか、正義感あふれる主人公が活躍するストーリーは非常にわかりやすく、日本人好みかもしれない。
本好きで知られる俳優・児玉清さんは、カール・ハイアセンのファンで新刊が出れば原書で読むということだ。
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