櫻の園
2008(日本)/115mins
【監督】
中原俊
【出演】
福田沙紀
寺島咲
杏
大島優子
はねゆり
武井咲
ほか
この作品は、中原監督が吉田秋生の漫画を1990年に映画化し、日本アカデミー賞最優秀作品賞・優秀監督賞を獲得した作品を自身が再びリメイクしたものだ。
90年の作品は極めて演劇的構成をとった少女たちの群像劇である。
しかし今回は、演劇部の部室を中心に展開した前回に比べて、高校内、家庭、町へと外へと広がる映画的構成となっている。
物語は、福田沙紀扮する結城桃という高校生が名門女子高「櫻華学園」の3年に編入することから始まる。
桃はヴァイオリスト志望であったが挫折し、姉の通ったこの高校にコネで入ってきたのだ。個性の強い桃は名門らしく伝統的風習を重んじる校則になじめない。ある日、取り壊されるという古い校舎にある演劇部の部室に忍び込み、チェーホフの『櫻の園』の台本を見つめる。忌まわしい事情で演劇部が廃止され、高校の伝統行事であった『櫻の園』の公演が途絶えていることを承知で、桃は密かにこの劇の公演を企む。桃の周りに集まった友人たちと稽古を開始するが、それが高校に知られ桃は叱責される。桃の企みに反対していた担任の坂野先生は、実は11年前に演劇公演が中止されたときの演劇部のリーダーだったのだ。桃の気持ちを理解した坂野先生は、自分の身を挺して学校側に、この公演を実現させようと掛け合う。そして・・・。
という内容なのだが、伝統を重んじ少女たちの行動を規制する名門女子高に途中から入り込んだ少女の疑問が、それを普通のこととして受け入れていた少女たちを覚醒させ、自分たちの意思で動き始めようとする青春群像劇となっている。
今回の外への広がりを持つ映画的構成において、確かに映画的風景はきれいであり、ロケーション風景の撮影は映画ならではの美しいフレームの切り取りを随所に見せてくれるのだが、その分、前作の限られた空間に置かれた少女たちの緊張や不安感の精神表現が薄れてしまい、エンタテイメントな面が強くなったのは仕方がないかも知れない。
同様な手法で同じ作品を2度作るという愚は考えてなかったとしたら、中原監督は今回はきれいに楽しくという確信犯的考えの演出により、櫻のように一瞬の間に咲き、散っていく青春の儚さ、美しさを撮りたかったのかも知れない。
[今回の評価]
★★
ぼくのチケット代は、その綺麗さに1900円差し上げます。星印は、2ツ半かなと思います。
過去の批評へ
シネマ教室トップへ
(C)OBS