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2月17日放送分/「クラッシュ」
今年のアカデミー賞作品賞を獲得した注目の映画です。
はっきり言ってこの映画はなかなか説明するのは難しい映画です。
と、いうのも主人公がいない映画なんです。
多くの人が同じような時間にお互いの気持ちや肉体を「衝突=クラッシュ」させる。
これが大まかな内容ですが、それじゃ分からないですよね。

でも見終わった時に、なんだか「満足感」というか「手応え」というかなんだかよく分からないけど、確実に充実感のある映画です。

舞台はクリスマス間近で華やぐロサンゼルス。
一人の女性が起こした車の衝突事故から十数人にわたる人々の間で様々な衝突が起こる。

それぞれの一人一人に面識は全くないのだけれど、その衝突が結びついていく。
登場人物は白人男性の警察官や、白人に対する根強い恨みを持つ黒人男性、アメリカ在住中国人や、同時多発テロ以来残る恨みと偏見に悩むアラブ系民族など様々。

そうした様々な立場だからこそもつ理不尽な憎しみや愛、偏見、苦悩、怒り、焦り・・・。

考えてみれば人間が人間として持つ当然の感情なんですが、日本ではそういった感情を抑えることによって社会を成り立たせていますよね。
しかしアメリカだからこそ、さらにその中でも人種のるつぼとも言われる国際都市、ロサンゼルスだからこそ起きてしまうそれに起因する様々な事件。
当たり前の人としての善悪両面をさらけ出すことによって、人間とはこんなに汚くも美しい生き物だと改めて考えさせられました。

中でも印象的なシーンは鍵屋の黒人男性ダニエルが、銃社会で銃声が聞こえると怖いと怯える娘に、これを着ると絶対に安全だという「透明マント」を着させるシーン。
当然そんなものはないのだけれど、幼い娘はそれを信じ切る。
しかしそんなある日、父親であるダニエルが理不尽な恨みを買い、自宅前で銃口を向けられる。
それを見た娘は自分が父親を守るとダニエルの元に駆け寄る。
しかしその瞬間、ダニエルに向けて銃弾が発砲される・・・。

大人になってしまった為に失った気持ちを改めて感じさせられました。

派手なアクションシーンもハッピーエンドの映画でもないけれども、何か大きなものを考えさせられ、そしてまた明日から頑張ろうという気になれる、そんな映画だと思います。

「クラッシュ」はシネマ5で現在公開中です。