大分の古代美術

木造阿弥陀如来立像

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木造阿弥陀如来立像 一躯
東国東郡安岐町杉山 瑠璃光寺
榧 一木造 素地
像高156.5cm
平安時代後期(11世紀)
県指定文化財

 納衣<のうえ>を両肩からまとい、胸・腹を大きく開き、来迎印を結んで直立する阿弥陀如来像である。
 像は榧<かや>材の一木造で、わずかに両手首、両足先(各後補)左袖口を矧<は>ぎ、裾背面に二ヶ所と袖前面下方に小矧木を当てるのみで内刳<うちぐ>りも行っていない。現状像底には角柄<かくほぞ>(後補)を立てて像を台座に立てているが、当初は丸柄穴を像底にうがち、台座心棒をそこに挿す古様の止め方をしていたものと思われる。眉・眼・唇を除いては彩色の痕跡は見当たらず素地仕上げとしたものであろう。
 頭部は前面のみ大粒の螺髪<らほつ>を切り付け、肉髻<にくけい>部との段差もさ程明確には表わさない。耳輪を太い紐状に作るが、長大な耳朶<じだ>には貫通孔はない。面奥は深く、頬の肉付けは丸くたっぷりとし、これに切れ長な弓形の眉を刻み、やや腫れぼったい瞼で眦<まなじり>が吊り上った眼を表わす。鼻は小ぶりであるが山形をなす上唇は厚く、総体に肉感的な表情である。古様を襲うものの平安初期一木彫成像に見られるような厳しさと量塊的な豊かさとは異なり、柔和さが目立っている。躰部の肉付けは肩を張り、胸から腹にかけてはゆるやかな起伏で盛り上り、十分な奥行を与え上半身を小さく表わすためさっそうとした長身に見えるが、袖口を派形に変化させ、納衣の袖が半円を描いて膝下をめぐり裳裾<もすそ>を左右に開いて、下半身の単調さを救い安定感を与えている。上膊部のから腹前にかけての衣文は平らな襞の間に溝を浅く掘りむ形で、飜波<ほんぱ>式の衣文<えもん>が類型化し穏やかになった様を示している。腰脇から大腿部をめぐって両足の間を通り膝上に至る双曲線状の衣文も浅く形式化している。丸彫りに近い木取りの方法や古式の彫技に倣<なら>いながらも全体に整斉への意識が目立ち、穏やかな表情を示すところから製作は一一世紀と考えるべきであろう。六郷満山の一寺に伝わる古像の美作として注目される。
(鷲塚 泰光)
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