| 大分の古代美術 | |
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木造大威徳明王像 一躯 |
| 豊後高田市大字真中 真木区 樟・榧 一木造 彩色 像高(座高)165.3cm (頭頂→足裏)241.3cm 平安時代後期(12世紀) 重要文化財 | |
| 本面の左右に一面づつ、また頭上に三面、計六面の顔を持ち、六本の腕と足をつけて、水牛に騎乗する異形の像である。本来は不動明王を中心とする五大明王の一つで、不動明王の西方に配置される。わが国ではこの像についての信仰がさかんで、『勝軍大威徳明王<しょうぐんだいいいとくみょうおう>法』の所説に基き、戦勝を祈る本尊として、独尊で造立することが、平安後期以降さかんになる。現存する作例としては、京都教王護国寺<きょうおうごこくじ>講堂にある承和六年(839)造立の五大明王像中の大威徳明王像が最も古く、かつ優れた作例として著名であるが、これをはじめとして現在十三躰が重要文化財として遺存している。真木大堂に遺る本像は、それらの中で像高が最も大きいことがまず注目されよう。 本面以下各面は両眼をいからせ、口を開いて牙をあらわし、天冠台<てんかんだい>の両側に炎髪<えんばつ>をつけ、六臂のうち第一手は第三指をたて胸前で印契を結び、左第二手は剣、第三手は伐折羅<ばざら>、右第二手は矢、第三手は戟<げき>を執り、(以上の持物はすべて後補)、条帛<じょうはく>をかけ裳<も>をつけ、六足のうち左第一足だけ半跏<はんが>して、うずくまる牛背にまたがる姿に造られる。忿怒<ふんぬ>の面相の肉付けはおだやかであり、左右に開く六臂の布置も形式的によく整い、総体に動きをひかえた穏雅な彫り口で、まとまり良く彫り上げている。製作は平安後期(12二世紀)と認められ、不動三尊像と共に九州地方における密教彫刻の注目すべき大作として推賞される。 本躰は本面から躰部までを樟<くす>の一木から造り、後頭部と背面より内刳<うちぐ>りを施し、それぞれ蓋板を矧<は>ぎ、頭頂の三面、六臂、六足を矧ぎつけているが、本躰根幹材、頭頂の三面、半跏する左第一足などが樟材を用いる他はすべて榧<かや>材製である。牛も樟材で、胴は背筋で左右二材矧ぎ、内刳りし、これに頭部、両角、胸前、臀、後脚などを矧いでいる。本像は形状が複雑であるためか、損傷が多かったらしく焔髪先端、本面の牙(右) 、手足の指先、牛の角先その他に補修が多い。本躰も牛も、像面は錆漆<さびうるし>による地固めを行った上に彩色を施しているが、現在の彩色は、光背や台座と共にすべて後補である。 (西川 杏太郎) | |
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