| 大分の古代美術 | |
![]() 独鈷杵 ![]() 五鈷杵 (拡大:写真をクリック) |
密教法具 |
| 独鈷杵 一柄 下毛郡三光村 瑞雲寺遺跡出土 下毛郡三光村大字成恒 佐々木ミサヲ 鋳銅 鍍金 総高15cm 平安時代末期 県指定文化財 五鈷杵 一柄 宇佐市大字南宇佐 大楽寺 鋳銅 鍍金 総長19.5cm 把長7.7cm 鈷長6.2cm 鎌倉時代 県指定文化財 | |
| 独鈷杵】 銅造誕生釈迦仏立像・青磁器などと朋に、瑞雲寺遺跡から出土したものの一つといわれる。 出土品の為に、全面錆に覆われた鋳銅鍍金、総高一五cmの独鈷杵<とっこしょ>である。把<は>は中央に突出がやや強めの楕円<だえん>二重圏鬼目<きもく>四個をつける。その両側には、縁取<ふちど>りをした四葉の蓮把を表わし、各二本の約条で締める。鉢は断面四角形とし、下方に節<ふし>を造る。鉢先は鋭くとがり、現状では腐蝕の為に、明らかではないが、匙面<さじめん>は認められない。総体的に穏やかな作である。把手<とって>に比べて鉢が短く、匙面が造られていない点や、鬼目が形式化しているので、制作年代は平安末期と考えてよいであろう。 【五鈷杵】 大楽<だいらく>寺は宇佐神宮の境内の端を流れる寄藻<よりも>川を挟み、神宮と相対する位置にある。後醍醐天皇発願により、元享年間(1321〜1324)に、宇佐大宮司到津公連が勅許を得て、道密上人を開山とし、建立したと伝えられる。 境内の弥勒寺には、国指定重要文化財の弥勒仏坐像を中心に、日光・月光・四天王像などの藤原仏が安置されている。 鋳銅鍍金の五鈷杵<ごこしょ>は開山道密上人所持のものと伝えられる。 把<は>中央の鬼目<きもく>部は、張り太く、大きく目を見開いた鬼面<きめん>四個を、上下互い違いに配する。蓮弁帯は内外同形で、弁縁を二重にする八葉を表わし、約条<やくじょう>はやや大き目の粒がよくそろった珠文帯としている。中央鈷は断面四角形、下方に節<ふし>を作る。各面は中央に線状の浅い溝を彫り、左右二面に分け、各面に極めて浅いが匙面を作る。脇鈷<わきこ>は基部に獅噛<しかみ>を作り、張りは余り強くないが、中央から強く曲り、先端の嘴<くちばし>形になり、鉾先<ほこさき>に向かって縁<ふち>に樋<とい>を作る。各先端は中央鈷よりやや下方を指している。厳島神社の五鈷杵の寸法19.4cmや、その形に近似するが、脇鈷外縁に着く雲形が一個多く二個となり、その形も著しく形式化し木葉<このは>形となる。その他、獅噛に近くハート型のくり込みを作るなどの相違がある。 特に鋭い作ではないが、穏やかな中にも密教法具独特の精巧な技法がよく表われている。鎌倉時代後期の県内金工品中、代表的な作の一つである。 (岩男 順) | |
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