大分の古代美術





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八幡宇佐宮御託宣集 十六巻
宇佐市大字南宇佐 宇佐神宮
第一巻 30.2×約900cm
室町時代前期
県指定文化財
 宇佐宮御託宣集ともいい、鎌倉時代後期に宇佐宮学頭であった僧神吽<じんうん>が正和二年(1313)に編纂した古記録である。序及び跋によれば神吽は宇佐神宮の古縁起等が源平争乱の折に失われたのをなげき、日本書紀等の史書、あるいは旧記、古文書等の関係記事を博捜し、正応三年(1290)から凡そ二十四年間にわたって編録したもので、八幡神の縁起、託宣、神威、あるいは八幡神信仰に関する史実、伝承を収録していて、宇佐八幡宮の根本記録として神道史のみならず、文化史上にも重視されている。
 この託宣集の原本は現存せず、室町時代の書写本が古伝本として数本伝わっているが、ここに掲げた宇佐神宮所蔵本は応永二十四年(1417)豊前守護大内盛見が書写させ、翌年宇佐宮に奉納した本で、現存する諸伝本中、最も由緒正しい証本として著名なものである。
体裁は巻子装で、料紙は上質の斐紙<ひし>に金界を施し、上下の欄外に金銀切箔、砂子を散して華麗に装飾を加えている。本文は各行十六、七字前後、正楷に書写され、読み方の難しい人名、地名等の名詞には片仮名の傍訓が附されている。
 第十八巻の巻末には応永二十五年(1418)万寿寺僧信源周ェの跋があり、豊前国守護であった大内盛見の命によって宇佐宮摂社の薦<こも>社(下毛郡大貞八幡宮)伝来本を僧信誉が応永二十四年(1417)九月から翌年四月にかけて書写した旨を伝えている。底本となった薦社本は託宣集の撰者神吽の奉納本と伝えている。底本となった薦社本は託宣集の撰者神吽の奉納本と伝えているから、この宇佐神宮本の本文は原本の趣を忠実に伝えた善本といえよう。
 なお、大分県下にある託宣集の古写本としては応永四年(1407)書写になる奈多八幡宮所蔵本(十六巻)、文明二年(1470)書写の柞原八幡宮所蔵本(十八巻、うち裏書二巻)が最も著名で、宇佐神宮所蔵本と共に県文化財に指定されている。
(山本 信吉)
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