大分の古代美術




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熊野磨崖仏 如来像(大日如来)
豊後高田市大字平野
石造
像高680cm
平安時代中期(10世紀)
特別史跡 重要文化財
 大粒の螺髪<らほつ>には旋毛<せんもう>を刻み、骨格のがっしりした面相は頤がひきしまり、眉は大きく弧を画き、眼も口もくせの強い曲線で刻み出し、両耳も大きく造るなど、この如来像は独特の風貌を示している。躰部も両肩は巾広く張り、胸もゆったりとした広さがある。木彫仏でいえば、まさに一木造<いちぼくつくり>の平安古像を思わせるものであり、その製作は、この地の石仏中最も古く、臼杵磨崖仏に先立つ平安中期に遡るものと考えてよいであろう。
 この如来像は、大日如来像と伝えられているが、経軌<きょうき>によると大日如来像は宝冠を頂く菩薩の姿で、金剛界<こんごうかい>の大日は、両手を胸前にかまえて智奉印<ちけんいん>を結び、胎蔵界<たいぞうかい>大日は、膝上で北界定印<ほっかいじょういん>を結ぶことが規定されており、螺髪をつけた如来像を示す本像のような大日如来は例がない。ただ本県下ではこのような如来像を大日と呼ぶ例が他にもあるので、この地方における特殊な信仰による命名であるかも知れない。
(西川 杏太郎)
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