ここ一番で最大の力を発揮する男が、チームに勝利を、残留をもたらす。
15位大宮、16位広島が引き分け、大分が勝てば残留が確定するはずだった前節。U−22日本代表に招集された梅崎、西川、出場停止のホベルトが抜けたチームは、この試合で残留を決めたい気持ちが空回り。守備から攻撃に移る「堅守速攻」の形が影を潜め、攻守のバランスを失った。時間が経過するごとに守備陣は安定感を失い、一向にゴールに近づけない攻撃陣は、停滞した雰囲気を打破するのは困難であった。
「こんな時にドリブルで局面を打開できる梅崎がいたら」。会場にいた誰もがそう思った。
今季ホーム最終戦となる33節磐田戦、その梅崎が戻ってくる。
今シーズン始まる前に「大分に残っても成長できたと思うが、自分には世界一の選手になるという夢がある。ここで勝負しないといけないと思って(移籍を)決めた」。フランス2部グルノーブルに期限付きで移籍した。左サイドの攻撃的MFとして期待されたが、出場5試合で無得点に終わるなど力を発揮できず、6月に大分に復帰。「(海外挑戦は)成功とはいえないが、大事な経験になった。この経験を次につなげるようにしたい」。再起を誓った。苦悩の4カ月間は決して無駄ではなかった。体力面でも精神面でもたくましさを増した梅崎のプレーは、主力として低迷の続くチームに躍動感をもたらした。また、U−20ワールドカップで16強入りの立役者となり、8月にはU−22代表に選出され、デビュー戦となった中国での四カ国トーナメントで初ゴールを決めるなど、全2点にからむ活躍を見せ、存在感を示した。しかし、この大会で左足首を負傷し、直後に始まった北京五輪最終予選に呼ばれることはなかった。「アップダウンの繰り返し。本当に今年はいい経験をしていると思う」と言うように、栄光と挫折を繰り返した。そんな梅崎に3カ月ぶりの五輪挑戦の知らせが届いたのが11月初旬。久しぶりの代表召集に燃えた。「思いっきりやるだけ。気持ちの部分でノッているし、自分らしいプレーしたい」と話し、また「帰ってきたときにチームがどんな状態でも、快く送り出してくれたチームのために精一杯自分のプレーしたいです」。現状を予測してのコメントだったのかは定かでないが、31節大宮戦を終えU−22代表に合流するためチームを離れる前に語った。