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私の読書日記 <No.3>
1月9日(水) 晴れ
京都町家ぐらし
著者:大村しげ
編:横川公子
出版社:河出書房新社
京都を旅するのが大好きだ。桜や紅葉の観光シーズンは勿論、新緑が目に眩しい初夏、しんしんと底冷えする寒さの冬もいい。いつ訪れても、感動する。
京都の街の魅力は、ひとつには古都としての歴史を感じる建物や多くの仏教美術に触れることにあるが、それだけではない。四季折々、違った顔を見せてくれることにある。それは、美しい自然風景にとどまらず、旬を大切にする京料理、和菓子、店のしつらえ、年中行事、風習に至るまで、<季節感>というものを重視し、日々の生活を過ごしている点は素敵だと思う。

ところで、京都には、料亭などで出てくる華やかな京料理がある一方で、各家庭で作られるお惣菜は、「おばんざい」という。(「おばんさい」は、家庭料理の京言葉)
「おばんざい」も、旬を大切にしていることは言うまでもない。
例えば、春の食卓には、木の芽あえ、ふきと鯛の子のたきあわせ。夏は、加茂なすの田楽、きゅうりとわかめの田楽。秋は、まつたけご飯。冬は、おだい(大根)とお揚げの煮物・・・など。何杯でもご飯を食べたくなるような献立である。

実は、この<おばんざい>という言葉を全国区にしたのが、随筆家の大村しげさん。高度成長期の日本でインスタント食品やコンビニ食品の流行と、ハンバーグ・スパゲティなどの洋風惣菜が献立の主流となり、栄養バランスのとれた日本料理が家庭で作られなくなったことへの危機感からであった。
京女である大村さんは、80歳でなくなるまでの生涯、京都市中京区の町家に住み、<おばんざい>を通して、京都のしきたりや行事など、日々の暮らしを見つめなおして伝えたいことを、京ことばで綴った。

彼女は、また、庶民が毎日の暮らしの中で使ったありふれたものは忘れ去られてしまうという思いから、後世の学者の資料になるようにと、生活道具は一切捨てずに保存していた。ものは、生まれ変わる。修理して使えば、次の世代までもつ・・・。
もったいない精神が、しっかりと息づいている。
それにしても、大村さんは、ちびた鉛筆やマッチの箱、ビン類など、普通は捨ててしまうようなものまで残している。新聞も40年以上にわたって保管していたというから、驚きである。

大村しげコレクションは、現在、国立民族学博物館に所蔵されている。