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私の読書日記 <No.11>
2月4日(月) はれ
涙と日本人
著者:山折哲雄
出版社:
日本経済新聞社
以前、何かの調査で、演歌の歌詞に使われる言葉のトップ3が《雨・涙・酒》とあった。いずれも液体(?)であるところが面白いが、それにしても日本人が抱く涙のイメージは何なのか? 
宗教学者の視点から、涙を通して日本人論を語っているところが興味深くてページをめくった。

例えば、<型と文化と涙>の項では、古典芸能と涙の関係を考察。
歌舞伎や能、狂言などの古典芸能では、泣く場面でも他の芝居のように実際に涙を流すわけではない。
狂言師 茂山千之丞さんの話によると、「古典芸能では、カ行で泣くのです。顔を
ややうつむけ、手を顔のあたりにかざして、カア〜という声をたてる。それで、泣くという所作を表すというきまりがあるのです」
みごとな、型の文化!!!

また、有名な宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の一節。
サムサノナツハ オロオロアルキ
ミンナニ デクノボウトヨバレ
ヒデリノトキハ ナミダヲナガシ・・・の解釈について。
賢治最晩年の手帳によると、この箇所は<ヒデリノトキ>ではなく、<ヒドリノトキ>となっている。花巻市の昔の方言では、小作人などが日雇いの仕事でもらう金を<ヒドリ>と言っていたので、賢治が小作人の貧しい暮らしを思い、悲しみながら詠んだという説。あるいは、小さな萱葺き小屋の中に<ヒトリノトキ>と書きたかったのでは・・・という説もあるらしい。一人で涙を流している孤独を表したかった。
諸説それぞれ、説得力があり、おもしろい。

<泣く聖母、泣かぬ観音>では、西欧のマリア像は涙を流すが、涙を流す観音様は聞いたことが無い・・・・これも、宗教観の違いなのか。