←アナ日記トップに戻る(海原みどり)
私の読書日記 <No.17>
2月18日(月) 晴れ
信長のおもてなし
中世食べもの百科
著者:江後 迪子
出版社:吉川弘文館
昔の人は、どんなものを食べていたのだろう。
昔の人にとって、<ごちそう>とは、どんな料理なのだろうか・・・
そんな好奇心を掻き立てられる本だった。

日本料理の基礎が生まれたのは、室町時代の武家文化台頭の頃から、中世(織田・豊臣)の時代まで。禅僧の僧侶たちによる精進料理の影響を大きく受けて発達したということである。
文献によると、食材は、海産物(鯛・鮭・鱧・うなぎ・なまず・鮎・船・鯖・いるか・海老・・・)、肉(狸・兎・鴨・鶴・雁・・・)、野菜(さつまいも・ごぼう・大根・茄子・松茸・・・・)、果物(柿・栗・蜜柑・あんず・葡萄・・・)など、豊富。
また、その料理法も、和え物、煮物、焼き物、刺身、汁物、蒸し物など、現在とさほど変わらない。

例えば、織田信長が安土城に徳川家康を招いた時の記録によれば、この時、饗応の役を仰せつかった明智光秀は接待に最大の心配りをし、<カラスミ・あわび・このわた・・・>などの山海の珍味をふんだんに使った料理をはじめ、五膳まで用意してもてなしたという。
大変な散財をしたようで、信長に叱責され、その恨みが「本能寺の変」につながったという説も面白い。

また、中世の年中行事の記録によれば、現在では正月の食べ物をして定着している《雑煮》は、かつては元服の儀式などおめでたい時や、8月、12月にも食べられていたという。

筆者は、別府大学短期大学部教授だったこともあり、豊後の大名・大友氏の年中行事や食について記された「当家年中作法日記」をもとに、食の歴史について考察している箇所も多いので、大分県民にとって親しみやすい書だといえる。