←アナ日記トップに戻る(海原みどり)
私の読書日記 <No.29>
4月16日(水) 雨
「日本人のお行儀」
いやしの時代に贈る
作法50話
著者:草柳 大蔵
出版社:グラフ社
礼儀作法につての数多くの著作があり、<ルールとマナーの神様>のような存在の草柳氏。また、講演会やテレビ出演の際には、数々のエピソードを交えながら平易な言葉で<人間関係を円滑におくる極意>を教えてくれる・・・。その穏やかな語り口に彼の人柄が表れ、つくづく「言葉の選び方、話し方で、その人間性がわかるものだ」と感心したものだ。

本書は、まず、松下電器の創始者である松下幸之助氏のエピソードから始まる。
会社側との交渉がもつれ、組合委員長が社長を殴ってしまった時のこと。
その一件が幸之助氏の耳にも入ったが、一切おかまいなしで委員長は処分を受けなかった。側近の重役が「放っておいていいのでしょうか」と訊ねると、幸之助氏は言った。
「あの男に欠けているところは、私が話してきかせてやる。処分すれば、あの男の長所まで否定したことになるからなー」
これは、子どもの時の経験が、彼の「人間評価」のモノサシになっていたという一例。

また、「失意の人への言葉」の項で、こんな話も紹介される。
作家・小山清氏の名作「聖アンデルセン」は、世界的な童話作家アンデルセンを題材にした物語だが、その中でまだ作家として未熟だった若き日の彼に先輩はこう励ます。
「君が君の弱点とみなしているものにこそ、僕たちは期待しているのだ。君は自分を偽ってはいけない。君の花はそこに咲くのだよ」
この一言で、アンデルセンはどれだけ勇気づけられたか想像がつく。
<言葉の力>は、大きい。

「うまいスピーチの3条件」「聞き上手になるための3条件」「人づきあいは、後味で決まる」
「名詞一枚の重さ」「むかしの習慣をもう一度」・・・・
目次を見て、興味深いタイトルのところからページをめくるのも、
エッセイの楽しみ方である。