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私の読書日記 <No.39>
6月18日(水) はれ
人間の幸福
著者:宮本 輝
出版社:幻冬舎文庫
マンションに隣接する家の小うるさい主婦が殺される。しかし、なかなか犯人が
つかまらない。中堅サラリーマンの敏幸は、階上に愛人が越してきて、浮気がバレやしないかとおびえる日々。殺人をきっかけにしてマンション住人の恥部、人に知られたくない私生活がだんだん露わになっていく・・・。

ミステリー小説の形をとりながら、人間の心の迷宮を説く長編小説。夫婦とは、真の
幸福とは何かを問うことになる。

この小説の最終章を書いている時に阪神淡路大震災が起こり(H7・1・17)、≪誇りと正義≫という言葉が、作家の怒りとなって書くことになったとある。日本人は、誇りや正義を失ってしまったのか・・・。
阪神大震災の際、行政のリーダーや自治体の対応の遅れや危機意識の希薄さを、小説の隋所で指摘している。

≪誇りと正義≫については、「誇りを奪ってはいけない。それを奪うのは、人間から命を奪うのと同じこと。でも、誇りをいうのは、少しでも正義を行わない人間には無縁のもの」。また、「俺たちが自分の誇りとして守ろうとしているのは小さなつまんない自尊心と紙一重。実はぜんぜん違うものなのに。正義を行えば、自尊心に支配されることもない」と、作家の思いを登場人物が代弁している。

重い内容の小説だが、ラストは爽やかで救われた。