貧しい人の中の最も貧しい人に仕えるために、生涯を捧げたマザーテレサ。
かつて日本を訪れた時には、経済大国・日本の貧困について、こう指摘した。
「日本にもたくさんの貧しい人がいます。それは、<自分なんて必要とされていない>と思っている人のことです。この世で最も貧しいことは、飢えて食べられないことではなく、社会から棄てられ、自分なんてこの世に生まれてくる必要がない人間であると思うことです。その孤独感が、最大な貧困である」と。
自分が一人で苦しんでいる時に「あなたは1人でない。あなたの側には私がいる。そして、私はあなたを必要としている」と言ってくれる人の存在が大切である。そして、隣人を愛し、分かち合いの心を持つように・・・・と、彼女は世界各国で講演してまわった。1979年に、ノーベル平和賞を受賞。
1997年9月5日に彼女が亡くなった後、今でもインド・コルカタ(カルカッタ)にある
「マザーハウス」には、彼女の意思を引き継ごうと世界中からキリスト教信者やボランティアが数多く詰めかけている。
本書は、家族に別れを告げロレット女子修道会に入りシスターとして厳しい修道生活を送っていたマザーテレサが、なぜ修道院を出て「神の愛の宣教者会」をつくり、インドの中でも最も貧困や病気で苦しむ人々のために尽くそう・・・と思ったのかを、遺書や書簡をもとに考察している。度々出てくるイエス・キリストの<私は、渇く>という言葉がキーワードになる。
筆者の五十嵐氏は、マザーテレサとの出会いを機に、NPO法人を設立。
インドのコルコタに、親のない子どもや満足な医療を受けられない人々のために
「レインボーホーム」を建設している。また、長年、不登校や悩みを持つ青年たちと共同生活をしながら支援・指導活動も行っていて、その並々ならぬ熱意や気骨ある精神に頭が下がる思いがする。 |