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私の読書日記 <No.57>
8月13日(水) くもり時々晴れ
医学生
著者:南木 佳士
出版社:文春文庫
1972年、新設間もない秋田大学医学部に入学した学生たち。

東京郊外の開業医の家で育った車谷和丸は、東京にある国立大学の医学部に入る実力はなく、やむなく2期校の秋田大学へ。<都落ち>の劣等感は否めず、勉強にも熱が入らない。桑田京子の家は長野の野菜農家。村の奨学金で進学できることになったが、将来は無医村のふるさとで働くことが約束である。新潟県の旅館の息子、小宮雄二は頽廃的な生活を送っていたが、通い詰めた大学近くの飲み屋で、女将の娘を妊娠させてしまい、悩んでいる。そして、妻子持ちで28歳の今野修三は高校の教師をしていたが、生徒の死をきっかけに医学の道を進むことになる。

出身も入学の動機も様々な医学生たちは、人体解剖実習をきっかけに<生と死について敬虔な気持ち>を抱くようになり、医師として1人立ちをしていく姿を描いた青春小説で爽やかな読後感だった。

これを書いた南木(なぎ)氏は、現役の医師であり作家。「ダイヤモンドダスト」で、芥川賞も受賞。創設時の秋田大学医学部を卒業し、この小説「医学生」の主人公たちのエピソードや心情は、南木氏の体験に基づいているという。