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インサイドヘッド

『モンスターズ・インク』(2001)で衝撃の長編アニメ映画デビューし、つづく『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009)で世界中のアニメ映画ファンの心をしっかりと捉えたピート・ドクター監督の待望の3作目は、なんとライリーという11才の少女の脳内にある<感情>を司る5つの感情ちゃんたちの物語となっているのだ。
11才になったライリーは、父親の仕事の都合でサンフランシスコに引っ越すことになった。それまでは自然がいっぱいのミネソタ州で育ったライリーは、両親と仲がいい元気で活発な子どもに育っていた。そんなライリーの脳内では<ヨロコビ><ムカムカ><イカリ><ビビリ><カナシミ>の感情ちゃんたちがライリーと共に成長し、ライリーがいい子に育つよう日々奮闘中であった。
だが田舎から大都市に転居した環境の中でライリーの感情は大きく振幅する。
脳内の司令部の中ではライリーの毎日を楽しい気持ちにすることが役割の<ヨロコビ>がリーダー格で、転校先の学校で自己紹介するときにミネソタの楽しい思い出を元気いっぱいに語るよう指令している最中、うっかり<カナシミ>がその思い出ボールに触ってしまった。そのため楽しい思い出のはずが瞬時に悲しい思い出に変化し、涙がとめどなく出てしまいクラスメートに変に思われてしまった。
ライリーの感情の変化にびっくりした<ヨロコビ>は<カナシミ>を思い出ボールから引き離すが、もつれた瞬間<ヨロコビ>と<カナシミ>は思い出ボールを運ぶチューブの中に吸い込まれ司令部の外に放り出されてしまう。そこは深い谷を見下ろす<ヨロコビ>も<カナシミ>も未知の場所。司令部に残されてた<イカリ><ムカムカ>そして<ビビリ>の感情はリーダーの役割を演じようとするが、かえって事態を悪くしてしまう。喜びと悲しみの感情を失ったライリーは、イラつき、怒り、心を閉ざし両親に反抗的になり、ミネソタへ帰りたいと家出してしまう。
<ヨロコビ>と<カナシミ>は司令部に戻ろうと行動を起こすが広い脳内の巨大迷路をさまようばかり、果たして無事に司令部に戻ることができるのか?タイムリミットが刻一刻と迫る中、いらないと思われた謎の感情<カナシミ>がとった行動は・・・。
成長期の少女の感情を主人公にしたこのユニークな企画は、人間の心理の微妙な襞を5つの感情に擬人化し、ライリーの行動とシンクロさせながら脳内の冒険ファンタジーとして表現することに成功している。色々な感情の交錯を調和させながら人間生活を営むことの大切さを子どもたちに理解させる意味でも、この作品の価値は高いと思う。
子ども目線でありながら大人も感じることの多い作品となっているのだ!
ぼくのチケット代は、2,200円出してもいいと思う作品でした。
星印は、4つ差し上げます。


[ 4 点(5点満点)・ 2200 円(1800円基準)] 5点満点中4点 2200円
衛藤賢史のシネマ教室について…

“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。

星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)

【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動

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