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海賊とよばれた男

出光佐三をモデルとした百田尚樹の『海賊とよばれた男』は圧倒的に胸を打つ熱血の小説だった。この小説を2時間半の映画にするのは支点の持ち方を誤ればとんでもない駄作になりかねない。と思いながら多少の危惧で見たが、山崎監督は時系列をずらしながら主人公の国岡鐵造の行動を軸とし、放射状に脇を時代を動かしながら撮るダイナミックな手法で、映画としての「海賊とよばれた男」の心意気の表現に成功した内容に仕上げてきたと思う。
1945。東京への大空襲で迎え撃つ日本軍の戦闘機<月光>は、石油の不足でわずか二機しか迎撃できない惨状を、国岡鐵造は無念の気持ちで見守るしかなかった。
そして終戦、60才の国岡は何もかも失った。しかし国岡は社員全員に「ひとりも首にしない」と宣言し「日本人は必ず立ち上がる、全員でがんばろう」と鼓舞するのだった。熱血の経営者・国岡は会社そして社員を守るため、どんな仕事も引き受ける。ラジオの修理、海軍が残したドロドロになった石油の汲み上げ作業。国岡の気質を慕い石油一筋にがんばった社員がそんな仕事をする姿を見ながら国岡は、過去を回想する!神戸高商(現・神戸大学)というエリート校を卒業しながら、これからのエネルギー産業は石炭でなく石油に移行すると判断した国岡は、一介の丁稚奉公からはじめ若くして石油業を立ち上げた。己れの信じる道に邁進する国岡のパトロンになってくれた木田に報いるためにも成功しなげればならない。国岡は海上の漁船に灯油を売るという掟破りの商売をし<海賊>と罵られながら石油業務を成功する。そんな熱血漢に魅入られた男たちが国岡の元に参集し、満州などの外地に販路を広げ一流の企業に成長した会社が、敗戦によって無一文に近い状態になったのだ。だが諦めない国岡は、他企業やアメリカの石油企業の妨害にも屈せず、日本人による企業を目指し新たな石油調達の手段として持ち船の大型タンカーを、英国から独立したイランが国営化した石油販売に目を付ける。英国と一触即発の状態にあるイランから石油を調達することは、英国を敵に回すことになる。しかし、国岡はこれからの日本の経済成長のため断固とした意思で大型タンカー<日承丸>をイランに派遣するのだった…。
岡田准一は、すばらしい俳優に成長した!20代から90代までの国岡を演じたオーラは凄い。そのため彼を軸にしてドラマが動くのがスムーズになり、かつて各所に存在した熱い魂を有した日本人たちの行動を誇りを持って見られる作品となっていたのだ!
ぼくのチケット代は、2,300円出してもいい作品でした。
星印は、4ツ差し上げます。


[ 4 点(5点満点)・ 2300 円(1800円基準)] 5点満点中4点 2300円
衛藤賢史のシネマ教室について…

“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。

星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)

【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動

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