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探偵はBARにいる3

札幌のススキノで行きつけのBARを事務所にしている探偵と北大の万年助手で空手の達人・高田のコンビの活躍を描く、東直巳の<ススキノ探偵シリーズ>は小意気なハードボイルド小説で、その軽妙な文体で楽しく読ませてもらった。札幌で活動して全国区の人気者になった大泉洋が入れ込み、映画化されたこの作品は、口こみで人気が上がりシリーズ3作目となり、製作費もスケールアップした大作として登場してきた。

 

今回は、高田(松田龍平)が後輩の恋人・麗子(前田敦子)の失踪を探偵(大泉洋)に探して欲しいと依頼する事から物語がはじまる。軽い気持ちで引き受けた探偵だが、調査を進める内に麗子が人気モデルクラブでバイトしていた事が判明する。そのモデル事務所のオーナーのマリ(北川景子)には、背後にススキノの裏会社の大物である北城(リリー・フランキー)の影がちらつき、この失踪事件がきな臭い匂いを漂わせる事を感じた探偵は旧知のヤクザ相田(松重豊)と、探偵の情報源である新聞記者・松尾(田口トモロヲ)に探りを入れる。その結果、どうも北城が麻薬売買に手を出し、麗子は何らかの形で関与し失踪したのではないかということを探偵は嗅ぎ付ける。さらに探偵は、マリがどうも自分を知っている素振りを見せたことから、マリの素性も調べはじめ、意外な事実を知ることになる。単なる恋人同士の痴話喧嘩からの失踪と、軽い気持ちで引き受けた事件がススキノの裏社会のヤバイ取引に関係した事件となり、探偵は引き受けるんじゃあなかった!と後悔しながらも持ち前の弱き者への義侠心から、この事件に高田と共に一直線に突っ込んでいくのだが・・・。

 

楽しみにして見たのだが、全体のストーリー構成が大雑把すぎる上に、出たとこ任せの危機脱出の連続では、大泉の軽妙な躍動感のある演技や、松田の寡黙だが滅法強い空手アクションの売りが大仰に感じて楽しめない内容となってしまった。せめて「ローガン・ラッキー」のように荒唐無稽な内容に、人間描写や金を奪う描写で見せたディテールを大事にする演出ぶりを見せて欲しかった。人気シリーズになりつつある作品だけに、次回はもう少しコクのある内容で企画してくれる事を希望したいと思う。

僕のチケット代は、1800円出してもいい作品でした。

星印は、2ッさしあげます。


[ 2 点(5点満点)・ 1800 円(1800円基準)] 5点満点中2点 1800円
衛藤賢史のシネマ教室について…

“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。

星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)

【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動

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